HiraShineのたわごと

アニメを中心に映画などの感想を書くブログです。

未来のミライ 感想(ネタバレ有り)『観察と考察によって創り上げられた4歳児から見るリアル共感ファンタジー』

前回の投稿からかなり時間が経ってしまいましたが、

久しぶりの映画感想ブログをやります。


まぁ、広告収入も無い完全な気まぐれ趣味ブログですので(笑)


今回は

未来のミライ

です。

もちろんネタバレ全開で感想を書きますのでよろしくお願いしま~す。

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 公式サイト予告特報動画より引用

 

 

個人的好感度:★★★★(★5個中)

◆こんな人におススメ

  • 子育て経験のある人もしくは真っ只中な人
  • 家族との関係が良好な人
  • ほのぼのとした物語が好きな人

◆こんな人にはいまいち

  • 壮大な問題解決スペクタクルを求めている人
  • 緻密な脚本・ギミック・ストーリーを求めている人
  • 意識高い系(頭でっかち)の話が苦手な人

 

◆初見の率直な感想


いやぁ、これはもう共感のツボ!ツボ!ツボ!

 

最初の街を見る鳥瞰の視点から家へパンする画の時点で

あ、これ絶対大好きなやつだ!

になりましたから(笑)

 

鳥瞰視点で街を見下ろすなんてスタジオ地図の名は伊達じゃない(笑)

 

とにかくあまりにも共感できる要素がありまくりだったんですよね~。

 

個人的なことをつらつらと書きますが


子育て真っ最中の我が家には4歳の男の子がいますし、
かつては犬も飼っていましたし(加齢で亡くなったのでさよ朝とも繋がる(笑))、
子供の頃は色々と妄想ファンタジーを考えるのが好きでしたし、
長男で妹がいますし、
さらには舞台となった横浜にも縁があるんですよね。


この映画のターゲット層ドンピシャじゃないか(笑)

 

この物語は問題解決をしてそこから劇的なエモーショナルを感じる物語ではなく、
描かれるエピソードの共感からエモーショナルを感じる物語なんですよね。
しかも限りなく4歳の男の子視点なんですよ。

そこがこの映画の初見で感じたところでした。

 

細田守の変態的演出100%


世間的には何かと注目されている細田守作品ですが

細田守作品はストーリーや脚本よりも
魅せる演出が売りだと思うんですよね。

ガチの設計士が作った緻密なまでに魅せる演出にこだわった家の設計に始まり、
現実の家の庭から4歳の男の子の世界へと切り替わるシーンに、
馬やバイク等乗物から眺める疾走感を感じる視点のこだわり、
終盤の不気味さと不思議要素の塊のような東京駅の演出に至るまで、

これだけでも映画館に来た甲斐があるというものですよ!

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 公式サイト予告特報動画より引用 圧巻の東京駅!これも細田作品ならではのもの。

あまりにも強すぎる演出のせいで鼻についてしまうと感じてしまう人がいるのも解らなくもないですが(笑)

 

◆4歳の男の子が思い描く壮大なファンタジー世界とファミリーヒストリー


突拍子もない完全なファンタジーならともかく、
4歳の男の子視点でリアルな物語を作ろうとなると、
意外と難しいと思うんですよね。

これが小学生や中学生の子供となると、
学校という共通する普遍的な舞台がありますし、記憶も比較的鮮明で
おのずと多くの人に共感してもらえる物語が作りやすいと思うのです。
しかしながら、4歳となると、幼稚園や保育所へ行っているとはいえ
学校ほど多くの人が共有できる要素は多くはないですし、
そもそもみんながみんな幼稚園、保育所へ行っているわけではありません。
そうなると普遍的な物語を作ろうとすれば、
家庭が物語の舞台となるのは必然的だと言えるでしょう。

さらには4歳のころの記憶となるとほとんどの人が
覚えていないもしくは、覚えていたとしても断片的なものだと思うんですよね。
またその記憶も親から昔のことを聞いて認識したものだという可能性もある訳です。

だからこの年頃の子視点の物語って、
どうしても大人から見た子供の物語になってしまうと思いますし、
それは仕方がないことだと思うのです。

しかしながらこの未来のミライでは、
子供をよく観察することでそのリアリティを高めていますし、
実際に子育て真っ最中の監督が作っているという信頼もあるわけで、

私も子育て世代ですが、現実パートはとてもリアル(+ちょっと理想)な物語だと感じたのですよ。

 

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 公式サイト予告特報動画より引用 子育てって必ずしも両親だけでするものじゃないんですよね。

とにかく4歳児視点の物語にこだわっていて、
リアルな家庭描画から子供の頃にやっていた(と思われる)妄想世界を
細田守の超絶演出映像美でファンタジーとして表現した世界なんですよね。

そこにいつのまにか成長した子供の成長理由として、
庭を介したファミリーヒストリーを埋め込んだ物語
これがこの物語の概要となると思います。

 

◆苦手な人が多いのは仕方がない?


映画感想投稿サイトを見ていますとあまり評判が良くないようですが、
まぁ、正直解らなくもないかと思います(苦笑)

前項でその理由は書きましたが流石に4歳児の世界観の物語はハードルが高すぎます。

他にも…

くんちゃんの声が4歳の男の子の声じゃない。
解ります(笑)

物語に1本の筋が通っていなくて脚本がやばい。
うんうん。

台詞での説明が過ぎている。
確かに!確かに!

成長物語といっても何か問題解決をするわけでもないし、
そもそも全体を通して見ても大した成長もしていない。
その通り!

未来のみらいちゃんがタイトルと違ってあまり出てこない。
お?

何故不思議なことが起こるのかが謎。唐突に過ぎる。
ん?

この家庭の経済感覚が浮世離れしている。
んんん!?

お母さんがスーパーウーマンすぎる。
いやいやそんなバカな。


間違いなく見る人を選ぶ映画だと思うんですよね。
そもそも、家族を信頼していない人にはとても勧められない映画ですし…。

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公式サイト予告特報動画より引用 くんちゃんがみらいちゃんを助けて未来のみらいちゃんがくんちゃんを見つけるこのシーンが最高潮です。


ここからはこれらの問題点について個人的な考えをつらつらと書いていきます。

・くんちゃんの声が4歳の男の子の声じゃない。
これは大人の事情も裏に見え隠れしていそうで何とも…
特に他の子供たちとのやり取りでそのギャップを強く感じましたし…
慣れるしかないのかも。
ジブリの後釜とも言われかねない細田作品の性なのかもしれません。
今一度、そういうヒットのしがらみから解き放たれた細田作品を見てみたいものですね。

 

・物語に1本の筋が通っていなくて脚本がやばい。
一言でまとめるなら4歳児視点の物語だから。です。
子供の頃ってそんな長くまとまった妄想って出来ないものです。
この間あったことなんてすぐ忘れたりするんですよ。リアルと言えばリアルですね。
もし、この物語を一本の物語としてまとめられるように見たいのなら、
庭の一本の樫の木が、くんちゃんを中心にこの家庭を見守る物語として
視点を変えて見てみてはいかがでしょうか?


・台詞での説明が過ぎている。
細田作品はわりと映像で解るシーンでも台詞で説明しているシーンがままあります。
細田作品の特徴ともいえるこのことですが、流石にリズと青い鳥を見た後だと、
もっと見る人を信じて欲しいとも思いますね。
ただ、今作は4歳児視点の物語ですから、4歳児が解らないことを回りにたずねた時の、
大人の反応としてなら、説明が過ぎる物言いになってしまうのはわりとリアルなことじゃないかな?
と私は思いました。
もちろん、説明台詞の全てがそれか?と言われると無理があると思いますが。

 

・成長物語といっても何か問題解決をするわけでもないし、
そもそも全体を通して見ても大した成長もしていない。
この頃の子供の成長なんて3歩進んで2歩下がるなんですよ(笑)
妹の未来ちゃんを認めたくんちゃんですが、この先また
みらいちゃんすきくない!
と言っても全く不思議なことではありません(笑)
私は逆に、こんな些細なことでも
映画にするとこれだけ壮大な物語になるんだなと感心しているくらいですしね。

 

・未来のみらいちゃんがタイトルと違ってあまり出てこない。

自分はこう考えました。
あかちゃんのみらいちゃんも未来のみらいちゃんも同じ存在だということです。
未来のみらいちゃんを見ているのはくんちゃんだけですからね。
電車とレールの玩具が並べられた中で
あかちゃんのみらいちゃんが何かを探しているシーンがありましたが、
あれはくんちゃんを探しているのではないかと思います。
それと最後のくんちゃんからバナナを渡されたシーンの
まるですべてを知っているかのようなみらいちゃんの満面の笑みですよ。

あかちゃんのみらいちゃんが未来のみらいちゃんになってそこに未来のみらいちゃんの記憶が入っていた、という感じでしょうか。
犬のゆっこも時間こそさかのぼらないもののそんな感じでしたよね。

 

・何故不思議なことが起こるのかが謎。
この物語は4歳の男の子とその家族との共感の物語です。
起きた不思議に理由を求めるなら、

くんちゃん自身の行動や考えを観察して読み解くしかないです。
そこに疑問を感じたり合理的な理由を求めたい方は、この映画から回れ右をお勧めします。

 

・この家庭の経済感覚が浮世離れしている。
世界的な劇場アニメの潮流がどうかはともかく、
こういうちょっと理想が入っているアニメ映画があってもいいじゃないか。
と私は思います。
それと、この家についてですが、パンフレットにあったのが、
一から新築したわけではなく、前に住んでいた人がいたもともと建っていた家を流用して建てたいわゆる"なんという事でしょう!"住宅なんだそうですよ(笑)
それに冒頭の鳥瞰の画にもありましたが、周囲の家よりもかなり敷地が狭いですし、
同じ面積の平らな敷地よりも、1000万ぐらい安くても不思議ではないと感じるぐらい、
宅地としては不便な土地だと感じました。
大体周囲の家は豪邸みたいな家ばかりですし、ガチで裕福なら共働きなんてしないでしょうし、
共働きしたとしても、家政婦を雇うぐらいはしているんじゃないですかね。
だから、個人的に思ったのは、富裕層相手の商売で少しだけ成功している
そこそこ裕福な家庭ですよねという感じでした。

 

・お母さんがスーパーウーマンすぎる。
おおかみこどもの雨と雪のはなに比べれば、
至って現実的かつ平均的なお母さんだと思いますよ。
頑張っている方のお母さんだとは思いますが。
本当にスーパーウーマンなお母さんなら、
くんちゃんの妹に対する嫉妬心にさえ先回りして的確に対応できていると思いますし、
もっと完璧にアンガーマネジメントもできているでしょうね。
おそらく男性から見れば多くの母親の姿が、
自分には真似できないことだから母親は強いって言われてしまうことの
延長線上にある感覚なのかもしれませんね。

 

未来のミライの好きくないところ


ここまでは大体好き!みたいな感じで言ってきた未来のミライですが、
いまひとつだと感じたところもいくつかありまして、
先に挙げたくんちゃんの声や台詞で説明しすぎているところもありますが、
個人的に一番問題だったのが、

山下達郎は好きくない!(笑)

なんと言いますか、イメージが固まりきってしまっている歌手の歌は苦手なんですよ。
山下達郎のイメージは、どんな歌詞の歌を歌っても、
淡いパステルカラーの少し彩度の低い水色になってしまうんですよね。
固まりきっている歌手の歌よりも、声優の声色のように作品のイメージに合わせて
カラーをある程度でも使い分けることができる知らない歌手の歌の方が好印象です。

 

あと、細田作品ではもうお馴染みのお菓子やシチューなどのタイアップ。
作品に出ているものならまだしも、
知名度と家庭的なイメージだけで採用してしまうのは個人的にはいけ好かないです。
作品に共感できるからといって、聖地などのモデルとなったものと違って
イメージだけをリアルの生活にも浸透させようというのは違います。

 

それと、JRの協力は得ているのに、電車とレールの玩具が出てきているにも関わらず
タカラトミーとの協力がなかったのは、
ああ、そういう意識で作っているんですねとなるところです(笑)真意は知りません。

青くないレールは好きくないっ!(笑)

 

あの禍々しい新幹線の車内を見て思ったのが
ああこれがデス(ヘル)グランクラスですか。と(笑)

この禍々しい新幹線と新幹線屋がこの物語の為にガチで設計した緑の新幹線も
青いレールの上で走らせたいんだよぉ!!

基本的に共感できる物語なのですが
何となく全体的に意識が高い人が上から目線で作っている感もしなくもないんですよねぇ。

 

◆個人的な共感ポイントとまとめ


この未来のミライは、家族子育て物ということでどうしても
子育て世代&子育て経験世代の人しか楽しめないと思われがちですが、
そんなことはありません。
ここからは個人的に特に共感した3つのシーンからそれを説明していきます。

 

まず1つめに、
子供の頃のおかあさんとくんちゃんが暴れ回った後、くんちゃんが家から出されて
ドア越しに叱られているのを聞いて耳を塞いで去っていくシーンです。
自分が子供の頃に悪いことをしてお仕置きとして閉め出された思い出がデジャブして
涙腺が崩壊したんですよね。その後の耳を塞ぐしぐさはうちの子供も経験ありですし、
本当によく子供のことを観察(&経験)して作られているなと感じました。

 

2つめは、
ひいじいじの青年と出会って馬やバイクに乗せてもらったところです。
自分の亡くなった祖父は馬やバイクではないものの、
一緒にこんな感じで遊びに連れて行ってもらっていた記憶があるんですよね。
この物語はファミリーヒストリーの物語でもありますから、
今は亡き家族を思い出す物語としても楽しめる要素があると思うんですよね。
お盆にピッタリの映画じゃないですか!!(笑)

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公式サイト予告特報動画より引用 この福山雅治はズルい(笑)

 

3つめは、
禍々しい新幹線にあかちゃんのみらいちゃんが連れて行かれそうになった時に
くんちゃんが必死に食い止めてみらいちゃんを守るシーンです。
ここは、共感を抜きにしても涙腺が緩むシーンなのですが、
自分も子供の頃妹のことはあまり好きじゃなかったのですが、親の話によると、
妹がいじめられそうになったときに"俺の妹に手を出すな!"って言ったらしいです(笑)
そんな記憶と重ねて見ると一層涙腺が緩んでしまったわけです。


未来のミライ子育て経験が無くても、今は亡き家族のことを思い出したり、
自分の子供の頃のエピソードを思い出したり、回りの人から聞いたりして
そこから共感を感じて楽しむことができる物語だと思うのです。

 

勿論その先にある家族とはささいな出来事の積み重ねで、

今の自分達があるのだというメッセージ性も大事だと思いますが、

子育て&子供の頃あるあるエピソードから共感して楽しむ物語でもあるわけですから、
細田さんのうちの息子スゲーだろ。な物語でも一向に構わないと思うんですよ(笑)

ついてこられるやつだけついてこいみたいな(笑)

 


激しいエモーショナルな展開も無く、解りやすいかといえば人を選ぶところもある、
勧めるには難しい未来のミライですが、
この挑戦的な映画作りは応援したいところでもありますし、
共感しまくることができた印象に残る物語でもありました。

 

あと最後にひとこと、
くんちゃんがズボンを下げたところがこの物語の最高の萌えポイントだと感じたのは私だけでしょうか!?(笑)

 

 

今回の感想紹介はこの3つです。

www.rojiurashinema.work

www.monkey1119.com

blog.monogatarukame.net