HiraShineのたわごと

アニメを中心に映画などの感想を書くブログです。

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン 感想(ネタバレあり)『君はヴァイオレットの愛に耐えられるか!?』

ブログからはお久しぶりです。

この度のコロナ禍による劇場の休止再開後の劇場鑑賞第一弾をきっかけにブログでのアニメ感想をリニューアルし復活させていきます。

再開後第一弾は

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン

です。

 

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 ポスター画像より引用

評価(5点満点中):★★★★(4.25点)

客観点(3点満点中)3.50点 + 主観点(2点満点中)0.75点

※初回なので新しい採点方法の説明

客観点…演技や作画脚本等作品のクオリティなどの技術的な評価 3点満点

主観点…自身の好き嫌い等主観的な評価 2点満点

合計5点満点

ただし主観客観どちらかが特に高い場合は満点をオーバーすることあり。

(点数に色が付きます)

それでも合計点は5点以内に収まる評価になります。

 

◆こんな人におススメ

  • 愛を中心とした個人主観の感動と共感の物語を味わいたい人
  • 女性視点のファンタジー寄り恋愛ドラマを楽しみたい人
  • 京都アニメーションの映像美を味わいたい人

◆こんな人にはいまいち

  • お涙よりもロジカルな問題解決の物語を求めている人
  • 抽象的なメッセージ性よりもリアリティを求めている人
  • 男性が受け身になる物語が苦手な人

 

◆初見の率直な感想


2度の延期を経て2019年の事件以後、最初の京都アニメーションによる劇場アニメなのですが、純粋に1つの物語として楽しみたかったので、物語外の情に訴えるような事情は極力排除して鑑賞しました。

まず全くの初見の人は大丈夫か?というと、ヴァイオレットと社長のホッジンズとの関係など解かりにくいところはいくつかあるものの、最小限の表現で読み解き想像で補完することを鑑賞者に求める、限られた枠で描かなければならない映画ならではの見方を身に着けている人なら、おそらく問題なく見れるかと思います。勿論TV版のエピソードも関連してきますから、そちらを見てから劇場版を見る方が良いに越したことはありません。

過酷だった過去の経験から、特異な人間性を見せるヴァイオレットが、手紙とその代筆の仕事を通じて人々と関わりあい、そのギャップを経験しそこから学び成長して愛を知り愛する人を目指す物語……なわけですよ。

 

 

映像美や演出の巧みさは流石京アニといえるクオリティで何処を見ても目を見張るものがありましたね。物語の展開も終始吉田玲子節が炸裂した巧みさが光っていました。比較対比できるエピソードを同時進行させて鑑賞者に訴えかけていくとか凄いです。いやもうこれだけで劇場に足を運んだ価値がありましたよ(笑)

 

とはいえ個人的には絶賛とはいかないのが正直なところで、前回の外伝同様に劇伴の主張がやや強いのと、ここぞというところの台詞が説明気味で、次に示す理由故にリアリティよりもメッセージ性やテーマを優先した作りになっていたところが少々気になりました。

あとこれが一番重要なところでシリーズを通して見られることなのですけど、落涙はするのですが主人公ヴァイオレットの過酷な過去の経験によるクールさと愛する人を求める燃えたぎる情熱の起伏の激しい感情の変化に、共感と感情移入がしづらいキツさがありました。

特異なヴァイオレットと市井の人たちのギャップが合わせ鏡となって、ヴァイオレットやそれ以外の人たちの人間性が際立ってくるところは良いのですけどね。

 

TV版の頃からこれはあまり自分向けの物語ではないとなったわけです。

 

◆気になるところはいくつかあるものの……。


劇伴、高い映像力で十二分に人間模様を表現できるにも関わらず、かつての2DドットキャラのRPGの如く劇伴が饒舌なところが気になったのですよね。これだけの映像表現力を持った京アニですから、BGMは添え物程度で十分物語を表現できるはずです。やはりファンタジーだからこそのこの劇伴の主張なのでしょうか。

 

台詞回し、口語ではなく説明口調の台詞回しのシーンがままあると感じました。リアリティを求めるなら台無しになるのですけど、そもそもヴァイオレット・エヴァーガーデンファンタジーの中に垣間見るリアルを堪能する物語だと思うのですよね。

それにこの物語のテーマとして想いを言葉や文章で伝えることがあると思うのでリアリティよりもそのメッセージ性の表現を優先させるのならありだと感じましたね。

 

そして過酷な経験をし想い人がいる一人の女性を描いたストーリー、感情移入がしづらいので一歩引いて理解する視点で見ていました。極端なキャラなので結局みんな一歩引いて理解するレベルで大絶賛しているのか?とも考えたわけですけともね(苦笑)

 

あと、出てくる男性の大半がイケメンなのはどうなんだ(笑)それでいて主要メンバーの男性は人間関係的には大体甲斐性なしと来て浮足立っているように見えました(笑)後者は個人的な好みとしてはまぁいいとして、声優の子安氏がやつれたイケメンおじさん保護者のキャラをやっている時点でジャンルはお察しか(笑)それ故なのか戦争があった後の世界にしては人々が優しすぎる世界だとも感じたわけですよ。

あ、あとこれポスターで少佐生きてたってネタバレしているよね?(苦笑)亡くなっていた結末ならそこには分からないよう生前の少佐の姿が写っているよね?彼が生きていたことは予定調和ですか?自分は映画の事前情報としてポスターすらもスルーしてきたので、そこだけはヴァイオレットに一部共感してハラハラしながら見ることができました(笑)

 

 

正直なところ、自分向けとはやや言い難いこの物語には、そこそこ程度の期待しかしていませんでした。

一人の女性の自分自身の共感とはやや離れた物語を、一歩引いた位置で理解し、京アニのアニメーションならではの優れた表現技術に感嘆し、吉田玲子の巧みな脚本で涙する。それが達成されていれば自分の中でのヴァイオレット・エヴァーガーデンは絶賛になることはないにしても良かったとなるわけですよ。人を選ぶところがありますが合いそうな人には十二分に進められる良作ですし、個人的にも求めていたものの範囲内で概ね満足しており、まずまず良い作品として評しました。

 

ヴァイオレット・エヴァーガーデンは共感で問題を解決し成長していく、一人の女性を描いた主観と共感の物語なのですよね。