HiraShineのたわごと

アニメを中心に映画などの感想を書くブログです。

若おかみは小学生! 感想(ネタバレ有り)『彩鮮やかな世界観で描かれるちょっと重くてファンタジーな児童文学』

今年はあと2、3本ぐらい劇場でアニメ映画をみることになるかな?

本当に見たいものを絞って選ぶのもまた一興ですね。

 

今回は

若おかみは小学生! 

 

です。

うん、プリキュアとか見てますから怖いものなんてありません(笑)

原作、TV版は未見、今回もネタバレ全開でぶちまいていきます。

 

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 公式サイト予告特報動画より引用

 

個人的好感度:★★★★(★5個中)

◆こんな人におススメ

  • ハートフルで前向きな物語が好きな人
  • 児童向けの物語が好きな人
  • 現実と切り離して作られたファンタジーとして純粋に物語を楽しめる人

◆こんな人にはいまいち

  • 大人の描画にシビアな現実を求めている人(綺麗ごとが嫌いな人)
  • ファンタジー的なご都合主義が苦手な人
  • 家族の関係が信頼できない人(家族物の感動物語が苦手な人)

 

◆初見の率直な感想


 

うん、温泉旅館へ行きたくなってきた!(笑)

まさかこんなに重くて(でもそんなに重く感じない)刺激的な作品だったとは……。

 

なんというか話の内容が濃厚でメリハリがはっきりついていて

解りやすいんですよね。

ああ、これが多くの子供たちが求めている(た?)

受けが良い児童向けの文学なのかな?と思いました。

 

それと、最近広げた風呂敷を畳んでいない(多分あえて)物語に多く触れてきたせいか、

驚くほど綺麗に伏線を回収して風呂敷を畳んで終わった物語だとも感じましたね。

長さ的にもこれ以上やったら子供向けとしてはちょっと苦しいかな?

というところまでで終わっていますし。

 

普段見ているオリジナル系のアニメ映画と比べれば

多少物足りないと感じたところはあったものの、

その辺りを差し引けば本当に素晴らしいアニメ映画であったと言えるでしょう。

個人的な好みのツボはいい感じについていますし、

自分は若おかみは小学生!一杯泣きましたし大好きになりました!

露天風呂プリンのレシピが載っているパンフを持って帰ったんですけどね、

本当にもう……

 

おっこの顔を見ただけで泣けてきますわ……!!(ノД`)・゚・。

 

なかなか劇場へ行けない予定の中、

むりやりレイトショーの時間に行ってよかったです。

順当に行こうと思ったら10月の第一週の後半にならないと行けませんでしたからね。

 

 

◆派手さは限定的、されど堅実かつ鮮やかな作画で美しい世界


まず目につくのは色鮮やかな背景やキャラ、美術ですね。

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公式サイト予告特報動画より引用 この舞う花が後に重要な表現になります。

正直、自分はアニメーションの美術や技術についてはうといのですが、

関係者曰く、このアニメの技術は相当なものだそうです(笑)

ペンギンハイウェイの美しさとも違う、ジブリ出身の監督の影響か

どちらかというとジブリをイメージする美しさでしょうか。

派手な演出は限定的で、エフェクトで美しさ大爆発(笑)というわけでもない

堅実な作画と色彩で美しい世界を描いていると感じました(フワッとしすぎですね(苦笑))

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公式サイト予告特報動画より引用 この所作の美しさよ!背筋がピンとなります(笑)

そして、この美しい世界がおっこの見ている世界であり、

この世界観が辛いながらも頑張る彼女をより魅力的に写し、

共感を誘い自然と応援したくなるようになるんですよね。

 

◆土台にあるものはファンタジーなのです。


若おかみは小学生!

邪な感情を持っている大人ならなんてキワドイタイトルなんだ!

と思うでしょう(笑)

 

いやいや、ちゃんと児童に見せられる作品なんですよこれが!

ちょっと重い話ではありますが(笑)

ただ、若おかみは小学生!

ですから現実にはありえない話、

実際の小学生はせいぜいで稼業のお手伝い程度で本格的に働くことはできませんから、

そう、ファンタジーなんですよねこの物語は。

描かれている舞台が現代の温泉地なのでリアルな物語としてみられるかもしれませんが

この物語を楽しむ上で、ファンタジーであることは

まず押さえておかなければならないところです。

 

ただ、未来のミライのようなリアル指向の物語のファンタジーとは扱い方が違います。

未来のミライでは物語の背景や登場人物がとにかくリアルで、

主人公のくんちゃんはリアルな4歳児として描かれていました。

そのリアルな世界に1点だけ、家の庭で繰り広げられるスペクタクルのみが

ファンタジーだったのです。

リアルの中に唯一介在するファンタジーによって

リアルな物語に変化を与えエモーショナルを展開する物語なのです。

 

それに対して若おかみは小学生!は、

物語の土台からしてファンタジーなのです。

登場するキャラ、主役のおっこもリアルな小学生ではなく、

キャラクターとしての小学生として劇中では描かれています。

おっこの快活で前向きなキャラは、アニメ的で

現実的な小学生の人間像とは言い難いです。

しかしながら、物語の要所で現れる

辛辣な心理描画はまさにリアルにも通じるものがあります。

それだけではなく、舞台背景の緻密な作り込みで、

ファンタジーの世界にリアルの世界でもあるという説得力が付与されています。

つまりファンタジー絵空事の世界の中に尊いリアルを描き、

そこからエモーショナルを感じる物語なんですよね。

 

ただ、そこはファンタジーのご都合が過ぎると、

酸いも甘いも知り尽くした大人から見れば、

物語を楽しむ上で物足りなくなってくるかもしれません。

実際、おっこが自分の辛い過去を乗り越えた方法が、

メンタル的にパワープレイ気味で、

そこまで強くて聖人な女子小学生なんてありえないだろ!都合良すぎ!

ってなるかもしれません。

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公式サイト予告特報動画より引用 元気で頑張り屋さんのおっこからみんな元気を貰ったんじゃないかな(笑)

やはり元は児童向けのファンタジーに強めに振られる物語だからなのでしょうか。

しかしながら、そこは絵空事のファンタジーだからこそ描けるのであって、

それを受け止めることが出来たなら、勇気や元気をもらえる輝いた理想の存在として

見る人の心に自然としみこんで感情移入できるようになるんだと思います。

 

◆このお姉さんは大好きよ(笑)


若おかみは小学生!

おっこ以外のキャラもアニメキャラ的で濃いんですよね(笑)

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ピンふり(笑)

ツンツンしているのに根は真面目で努力家とか……

おっこが来ると解ると、努力家のそぶりを隠そうとするところとか可愛い(笑)

悪い人が出てこないこの物語で強烈かつ貴重なアクセントとなりましたね。

 

そして

謎多きお姉さん

 

じゃなかった(笑)

 

占い師のグローリー・水領

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公式サイト予告特報動画より引用 このシーンはマジか!?ってなった(笑)

自分もそれなりに世の中を知った大人です。

最初、ちょっと壊れた怪しい占い師として登場したときは、

この人宿代踏み倒すんじゃねーのか!?

ってハラハラドキドキしていましたが、そこは安心の児童文学です(笑)

クルマが出てきたことでその懸念は一気に払拭されました。

このお姉さんオープンカーの楽しみ方解っていますね(笑)

オープンカーには自分もかつて乗っていたんですよ。

いろんなしがらみから解放されるという意味でも

あの電動ルーフは最高の舞台装置でしたね。

(グローリーの愛車ポルシェ911カブリオレは50㎞/h以下でソフトトップの開閉ができるそうです!)

 

おっこにとって彼女はお客様であると同時に、

大切な心の友であり、

魅力的で理想とする大人のお姉さんであり、

ときには心の支えとなる親みたいな存在でもあるんですよね。

 

思うのですが、グローリーみたいな大人の女性像って、

小学生の女子が考える理想のかっこよくて魅力的な大人の女性像だと思うんですよね。

あくまでも大人が考える女子の理想の大人像だと思いますが。

 

アニメ的ではありますが、個人的には特におっことの関係を見ていると、

女性同士の交友関係とか、これは良きかな!!と感ずるとこがありまして、

男子の妄想が若干入っているペンギン・ハイウェイのお姉さんより、

女の子の理想が入っているグローリーお姉さんの方が好きです(笑)

画的には前者のお姉さんより際どいこと(笑)になっているのに

ちゃんと女性らしいところも描いているせいか何故かいやらしくない(笑)

 

個人的には、この物語でもおっこの次に好きなキャラですし、

今まで見てきたアニメ映画に出てくる大人の女性の中でも屈指の好きなキャラになりました。

 

その他にもその身なりから、宿代払う金持ってるのか!?

ってなった神田親子(疑ってばかりでごめんなさい…)

特にあかね君は 親を亡くしたもの同士で良い意味でおっこと対になっていましたね。ええ、彼とのやりとりでは泣きましたとも(笑)

おっこのキャラでは描かなかった苦境に立たされる子供のネガティブな心境を見事に描かれていました。

 

山寺宏一一家(コラ)もまさかそんな関係だったとは!?でしたしねぇ。

 

ユーレイ二人と子鬼も実にアニメらしい活躍をしてくれますし、

もちろん祖母を初めとする春の屋の大人たちも素敵でした。

いやぁ……ホントに良い人しか出てこねぇよこの物語。

心が洗われますわぁ……(笑)

 

両親の死に向き合えなかったおっこが

出会う人々たちとの関わり合いによって

成長していく姿はまさに王道の物語ですよね!

 

◆アニメじゃない??アニメだよ!!だから描けるんだ!!


映画版若おかみは小学生!

一部界隈ではバズっているようですが、

全世代に贈る完全無欠のハートフル感動大作!!

なのかというとそれは流石に言い過ぎじゃないかなと思います。

児童向けのファンタジーな物語ではあるけれど、要の部分ではリアルに迫る面もあり

大人にも訴えかけるものがあるというのは解ります。

 

とはいえ正直、仮に大人向けの物語でこれをやられると

ちょっと白けてしまうところがあると感じたのも事実で、

もっとリアルな人間性を現実を求めてしまうのです。

それに世の中には溢れるハッピーエンドの物語には

もう飽きたという人が意外と多いようですし(笑)

個人的には万人にお勧めできる物語か?といわれると

首を縦に振ることはちょっとできません。

 

もう少し突っ込むと、現実的な物語からみたら物語のきっかけとなる部分の要因が

(例えばおっこがおかみを始めるきっかけなど)

ファンタジーに頼っている面があります。

それに先に上げたように不自然なくらい良い人しか出てこない物語でもあります。

最初からリアルな人間を描いた物語を期待してハードルを上げて

(そんな人がいるのかは疑問ですがこれだけ評判が良いとちょっと心配)みると、

そのファンタジーぶりに面食らってしまうでしょう。

 

あと、修羅場の泣きのシーンの演技とかくどいと感じる人がいるかもしれません。

 (でもあんなふうに皆で泣かれたら本音は涙が止まらないのよ~(笑))

 

 

ですがもし、この物語をアニメ的なファンタジーキャラ表現を抜きにして、

リアルな小学生を描くことを中心とした人間の物語にしたとしたら……。

おっこの境遇が小学生にしてはあまりにも重すぎてとても見るに耐えないものになっていたでしょう。

アニメ的なファンタジーキャラ表現で良すぎる子を描いて

重さを押し切ってこそ、絵空事にしてこそ、

重さと軽さを兼ね揃えた物語として楽しむことができると思うのです。

別の言い方をするならば、

この表現の物語ならどんなに重い境遇の子を描いても信頼して良いかと思います。

 

いや、自分なんて最初、おばあちゃん的ポジションの人が亡くなって

小学生が宿をきりもりしていくってくらいファンタジーか?

って思っていたくらいですし(笑)

 

それに本来の対象である子供たちは、若おかみは小学生!のタイトルみたいな

ちょっと過激で好奇心をそそられる物語を求めていると思いますし。

 

 

個人的には現実ありきの見方やメッセージ性からは一旦切り離して、

おっこの若おかみとしての愉快で泣ける奮闘物語として

シンプルに楽しませていただきました。

共感すら意識してする必要はありません。

快活で前向きなおっこを見ているといつの間にか感情移入してしまうのです!

 

そうして見ていると

作られた世界だけどリアルに通じるものもある!

やったすごい!

これでいいんです。

 

 

児童向けの物語の普通の小学生の主人公であるおっこが、

なんでおかみになったの?ありえなくない?

なんてところは物語を楽しむための前提として解釈しました。

それこそ児童向けロボットアニメのお約束に突っ込むようなものなんですよね。

それが子供向けアニメのファンタジーなのですよ。

(もちろんそこをあえて描くのもありだと思いますが)

それ故に、あえて児童向け作品としてのフィルターをかけた上での

絶賛とさせていただきました。

 

絶賛される方の中には大人向けのアニメ映画だと

おっしゃられる方もいますがそうではなく、

幸せな物語を好まれる方に限定されますが、

子供向けの要素が苦手な大人でも楽しむことが出来る

子供と一緒になって楽しめるアニメ映画だと思います。

 

◆2回目視聴、劇場版小説読書後の気づき


2回目視聴、劇場版の小説も買いました。

1回目の視聴でひっかかっていた、ラストの4人の神楽の舞からの

ウリ坊と美陽との別れのシーンですが、本来ならそれまでの積み重ねで

自然と感極まるシーンだったと思うのですが、

頭で考えて理解しないと感動できなかったのです。

それまでのエピソードのカタルシスとラストが直結していないと感じたんですよね。

2回目の視聴でその原因が大体解りました。

 

序盤の両親と見に来ている神楽のシーンにいくつかの伏線

(両親が神楽でおっこが踊っているのを見てみたいと言ったところ)

があったのを見逃していたことが1つ挙げられます。

あらかじめ序盤から気を張って見ておくか、

2回目を見ないと対応できないかもしれません。

ホント、一瞬でも見逃したら勿体ない事になる凄い映画ですよ!

 

この映画は原作からの取捨選択と加筆が神がかり的に絶妙なんですよね。

例えばTV版や小説版であった女将のおばあちゃんが体調を崩すところが

この劇場版では丸々無いんですよね。

このエピソードを切るなんて正直、凄まじい選択だと思うんですよ。

映画聾の形の映画製作のエピソードを丸々切った以上の凄まじい取捨選択ですよこれ!

 

これが、限られた時間で物語を描かなければならない映画の凄いところであり醍醐味なんですよね!!

 

何故切られたかというのを考えると、もちろん尺の問題もあるでしょうし、

ただでさえ重い物語ですからこれ以上重くならないようにするためもあるのでしょう。

私が思うにはそれ以上に、おっこが生と死を乗り越えて成長していく物語を語る上では

必ずしも必要ではない、邪魔になるかもしれないという決断があったのだと思います。

これじゃないか?と気が付いたときは本当に映画って凄い!って思いましたから(笑)

尺を沢山とることができる連続ドラマや小説では、原作重視で考えると

まずやらなくても良いことではないでしょうか。

 

 

少し話がそれましたが、ラストの感動が思ったよりも……だった件ですが、

もうひとつの要因、ウリ坊と美陽たちがおっこから見えなくなる要因が

おっこが両親の死を受け入れ乗り越えていくにつれて見えなくなっていくのと、

おっこが出演する神楽の日に天に昇るという二つの要因があるのだと思っていましたが

これについて劇場版小説に詳しく書いてありました。(読み飛ばしていました(苦笑))

詳しくはここには書きませんが、小説を準拠とすると

ファンタジー要素が要因のようで、おっこの成長とは直接関係の無い感じでした。

個人的にはここ、映画だけでも解るようはっきりしていれば、

更なる感情移入が出来ていたと思いました。

 

 

 

それと、もうひとつの気づきですが、

この物語って家族を描く物語でもあるんですよね。

 

ですから、親との関わりに良い思い出が無い人や

それ故に家族の関係が信頼できなくなっている人には、

根本的に合わないと感じる人が結構いるんじゃないか?と思うんですよね。

自分も重いながらもあまりにも良い物語に、少しだけモヤっとしたのですが、

そういうところが少しあるので、そうなんじゃないかな?

と思ったのです。

 

家族の物語って明確な押し付けさえなければ基本的に嫌いじゃないのですが、

家族関係に不幸や問題があった場合で解決を目指す物語となると

個人的にはちょっと敏感になってしまします。

 

 

◆好きなところ語りとまとめ


映画版若おかみは小学生!

もっとシンプルに好きなところを語りましょう。

 

 

おっこちゃんが

滅っ茶苦茶可愛いんですよ!!(爆)

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公式サイト予告特報動画より引用 こんなに頑張り屋で可愛い女の子です。応援せずにはいられない(笑)

ちょっと画風が古いと思っているそこのアナタ。

見れば解るから(笑)

単に健気なだけじゃないんですよ(笑)

過呼吸になるの、自分も経験があるのでそこは共感ポイントです(笑)

自分の場合、過呼吸になったら手足が痺れてきたんですよね。

 

それと、おっこはウリ坊に無理やり若おかみにされた感じですが、

このおっこちゃんなら仮にウリ坊がいなくても

小学校の友達に触発されてお手伝いから始まって旅館の仕事に関わっていた

かもしれません。スイッチさえ入れば積極的になる子だと私は見ています(笑)

 

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 公式サイト予告特報動画より引用 鈴鬼くんが用意してくれたものだそうです)

 

そもそも本当に心から嫌だったら、まともに宿の仕事なんてできませんよ(笑)

 

それと

旅館のご飯が滅茶苦茶美味しそう!!

腹を空かせて見に行ったら飯テロ事案ですよ!!姉さん!!

パンフには露天風呂プリンのレシピまでありますしね。

温泉好きでもある自分としては露天風呂のロケーションも素晴らしいです!!

 

さらには

神楽の振り付けがなんか癖になりそう(笑)

この物語は1年間を神楽に始まり、神楽で閉じる物語になっています。

綺麗にまとまっているように見えたのもこのためかもしれません。

 

それとこの物語、

子供たちが人生で初めて涙を流すレベルの感動に出会う物語になるかもしれません。

感動するということはこういう事ですよと教わる教材としては最高だと思います。

どうせなら興行がひと段落したら、

小学校の授業で3、4時間目を使って(その後給食なのがミソ)

道徳(あるいは生活?)の授業の一環と称して上映すれば良いんじゃないでしょうか?(笑)

文科省小学生からキャリア教育とぼやいていますが(別に悪い事じゃない)

劇場版『若おかみは小学生!』とタイアップ! 大切なもの。力を出し合うこと。大人になること。 小学生から、キャリア教育:文部科学省

 

もっと片の力を抜いても良いでしょう。

 

またオープンカーにも乗りたいっ!!ショッピングモールにも行きたいっ!!

名物の朝のバイキングも食べたいっ!!夜のイルミネーションも見たいっ!!

温泉旅館へ行きたいっ!!温泉旅館へ行きたいっ!!温泉旅館へ行きたいっ!!

ああ、生きる力が湧いてきますよ!!

 

 

花の湯温泉のお湯は誰も拒まない

すべてを受け入れて癒してくれる

 

とあるようにこの映画もまた

 

劇場版若おかみは小学生!は誰も拒まない

全てを受け入れて癒してくれる

これですよ!(笑)

 

パンフレットに実際の美山荘の女将の言葉がありました。

お客様が「また明日から頑張ろう」と活力を得られるような時間を私どもは提供させていただく。

この映画もまさにそれと一緒でまた明日から頑張ろうと活力を得られる

映画になっていました。

 

 

正直、思うところは色々とありますが、

そこを割り切れば大人も楽しめる素敵な癒しの映画ですので、

子供向けだからと遠慮していたら間違いなく勿体ない映画です!!

 

若おかみは小学生!は何故絶賛されるのか?についての個人的考察追記


映画版若おかみは小学生!

ついに3回目を見てきました。

 

実を言いますと前々から単に良い映画として処理するには

あまりにも見識のある方々の評価が高すぎるんじゃないか?

ということが気になっていまして、

今回3回目は感情に任せて見るのは抑えて、

もう少し冷静に見ようと意識して見たのですよね。

(ちなみに1日1回昼間の上映の劇場で観客は自分を含めて3人……地方はつらいよ)

 

3回目の鑑賞での気づきをひとことで表すなら、

いやぁ……ヤバいねぇこれは。

これと比べて岡田磨里が病気だとか言ったやつ出て来いよ(笑)

多分自分のような気づき方をすると、

下手をしたらもうそこしか見えなくなってしまう可能性がありますので、

地獄の釜の蓋を開けたくない人(笑)はここまでにすることをお勧めします。

↓究極のネタバレの可能性がありますので続きは少し間を開けてから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花の湯温泉のお湯は誰も拒まない全てを受け入れて癒してくれる

そう、これなんですよ。

自分も春の屋を訪れた人はみんな癒されていると最初は思ったのですが

そうではない人(少なくとも映画で描かれている範囲を見る限り)が

唯一ひとりいたのですよね。

木瀬文太

 

彼は食事のときまでは間違いなく宿の施しを受けて癒されていました。

しかしおっこの激白受けてから後、彼が癒されたとわかるシーンは

何一つ出てこなかったのですよ。

 

ここでシンクロするのが神楽のストーリーです。

↓動画のだいたい3分50秒ぐらいから

 

www.youtube.com

山犬によって村の子供が殺められて村人が追いかけていったのだけど、

温泉で傷を癒している山犬を見かけてついには矢を射れなかった。

という話。

一見、山犬も村人も湯に癒されてほっこりする話のように思えますが、

山犬に奪われた子供への村人の思いや、山犬への怒りが

無かったことにされているんですよね。

 

ひるがえってこの物語を

木瀬文太の視点から見てみると

彼は姿こそ見えないものの映画の冒頭、

事故を起こしたトラックドライバーのトラックとして出てきます。

それから彼はずっと入院をしていて、

ようやく温泉旅行が出来る体になって春の屋を訪れるのです。

 

そこで出会った若おかみが、

自分の起こした事故のせいで両親を失った女の子なんですよ。

そうして彼の目の前で、両親を失った苦しみをぶちまいてしまうのです。

ここまでは誰もが解ると思いますが

(おっこの両親が経っている障子戸のガラスに木瀬一家が写っていることで彼らもおっこの苦しみを見ているのです)

彼の視点から見てもそれはあまりにも残酷な話じゃありませんか?

 

さらに彼に追い打ちをかけるのが、

宿を変えてもらうよう手配されたところに

春の屋に留まるよう訴え彼女が言うのです。

私は春の屋の若おかみです!と。

このときの彼の表情は、受け入れるとも拒絶するとも

何ともいえない表情をしていましたが、

 

 

彼の思いに寄り添っていた人はあの中にいたでしょうか?

彼の息子ですら彼女の側についていたのです。

そうしてついには渋々春の屋に戻るのですが、

そこに映された彼の顔に笑顔はありませんでした。(ここが3回目の気づきです)

そして彼はこの物語から姿を消すのです。

神楽の日にも出てきません。(人が多いのでちょっと自信がないです。出てこないですよね?(汗))

彼の苦しみを何とかしたいという思いが

花の湯温泉のお湯は誰も拒まない全てを受け入れて癒してくれるという言葉と、無邪気なおっこの善意で、

無かったことにされているんですよね。

 

物語の冒頭で、神楽の山犬役がやたらと怖く描かれていました。

そして物語の最後、おっこがその山犬役になるんですよ!!

この物語と神楽の物語は一体なのだそうで、

あれは伏線だったみたいです。なんと恐ろしい伏線か!!

 

 

しかしながら、これは決しておっこに罪があるわけではありません。

そのことを自覚することすら小学生には非常に難しいでしょう。

真月もそのことには気が付いていませんでしたし、

それどころか周りの大人や我々観客ですらも(冷静に見ていた人はともかく)

おっこの境遇を見てきているので(おっこに感情移入している人ほど気が付かないかも)

例えそれが危うい可能性がある選択であることが解っていたとしても

彼女の決意を止めることは出来なかったのではないかと思います。

我々観客や春の屋の人たちはおっこの頑張りを見てきたからよいのですが、

彼はそれを見てきていないので解らないのです。

接客業としての理想を言えばそこで周りの大人が、

もっとお客さまの意向を汲んでさしあげなさいとたしなめるべきなのでしょう。

でもそれをすれば今度は折角の両親を失った苦しみから抜け出そうとする

おっこの想いに水を差すことになりそれはそれで残酷なことになってしまうと思うのです。

 

 

そこがこの物語の真に深い深い感動を誘うところだということに

3回目の視聴でようやっと気が付いたのですよね(苦笑)

単に小学生が両親を失ったということだけで重いという話ではなかったのですよ。

 

子供はとても正直にものを語る時があります。

時には善意でやった行いが鋭い刃となって大人に突き刺さることもあります。

それは自覚のない無邪気なもの故に余計に鋭くなるのです。

 

しかし、このことからこの物語は感動を期待する物語じゃなく

酷い物語と否定するのは自分は違うと思っています。

もちろん文太の側に立って見たらそうなるのは解るのですが、

そう処理してしまうとじゃあここまで描いてきたおっこの輝きはどうなってしまうんだとなるんですよね。

それなら初めから文太が主人公の物語として描けばよいのです。

あくまでもこれはおっこの物語です。

 

それに

この物語は創作の物語ファンタジーなのですよ。

だからこそ描かれていないその先に

癒しや救いがあることを自分は信じたいです。

 

むしろ描かれていないことが救いにもなるということです。

 

 

 

 

苦しみも喜びも全て表裏一体。

 

凄い映画ですね本当に。

 

でもこの要素、好きか?

と聞かれればそれはちょっと否です。

だからこの物語の5点満点中4点の好感度は変えません。

同じ感動でも見ている人によって実は感動の源泉が少し違う(かもしれない)なんて、

(シンプルにおっこの頑張りに感動するか、文太との関係で複雑な感情からの感動か)

狙ってやっているのであれば結構あざといですね(笑)

仮に大傑作ではなくなるにしても、

もっとシンプルに良い話を見たいんですよ~!!(苦笑)

ぶっちゃけ児童向けファンタジーとして重い要素を

吹っ飛ばして見ていた方がシンプルで楽で好きです(笑)

 

改めて言います。

この物語は少年・家庭向けの物語です。

それは軽いとか重いとかという意味だけではなく

もっと深いところにもありそうな気がした3回目の鑑賞でした。

 

 

 

最後にひとこと、

鈴鬼君、お前ホントにヤバい客呼んでくるよなぁ……。

お前がこの物語で一番ヤバいやつまさに鬼だよ……。

 

※この追記に限らず当方ブログの感想は、あくまでも私個人の独自の解釈ですのでそういう解釈もあるんだなという目で見守っていただければ幸いです(苦笑)

 

 

 

 

 

 

 

↓私のまとまらない感情爆発感想とは違って至って真面目で素晴らしいみなさんの感想批評です。

 

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