天晴爛漫! 感想(ネタバレあり)『前に進んでいく者たちの時代を切り開いていく物語』
こんな感じで深夜アニメの感想を全話終わった後にブログ記事にしていくとクールの代わり目の負担が大変なことになりそうですがやります(笑)
今回は
です。
ポスター画像より引用
評価(5点満点中):★★★★★(4.50点)
客観点(3点満点中)2.50点 + 主観点(2点満点中)2.00点
◆こんな人におススメ
◆こんな人にはいまいち
- 考察を楽しめるアニメを期待している人
- リアリティやガチのシリアスを期待している人
- ガチのレースアニメを期待している人
◆初見の率直な感想
えっ!?主人公野郎だった!?
最初主人公は女の子だと思って見始めたのですよね(笑)
一見レースがメインテーマになっている内容に見えますが、アウトロー達の存在とその変化から、これは
変わっていく者、前に進む者たちの物語
じゃないかなと思いましたね。
レースをメインテーマにするのなら、1話からレースを始めてその中での出会いや成長、必要に応じて回想を挟む展開にすれば良いので、物語の中盤からレースが始まるということから、レースがメインテーマのアニメではないということは何となく解っていました。
キャラの個性の強さや、展開の楽しさを優先するためにリアリティは控えめで、何故サムライの時代の影響が残る時代の日本人がアメリカに行って難なくコミュニケーションがとれるのか?とか、日本のクソガキの発明が通用するのか?などのツッコミを入れるのは野暮というやつです。
要は
サムライ!カンフー!レース!酒!温泉!西部劇ガンアクション!
……そんな感じの細かいことは気にするなってノリの物語です。
あまりシリアスにもなりすぎずロジカルな考察も基本的にはない、ケレン味で押して問題を解決していくタイプの物語で、これは自分の好きなタイプですね。
◆良い意味でメチャクチャ(笑)
この物語のメインキャラは基本的にはみ出しものや変わり者ばかりで
キテレツなジャパニース発明ボーイに
レーサーになりたいカンフーガール
気前のいい大企業のお坊ちゃま
恋人を失った悲しみを引きずっている女々しいアウトロー
ファッションや言動が狂っているアウトロー
……とまぁホント個性が強すぎ(笑)そこにキテレツ発明ボーイに共にアメリカに渡ったちょっと気弱で面倒見が良いサムライと親の敵討ち狙っている原住民の子供ですよ。
この物語はそんな彼らが自分自身が抱えた試練を乗り越えて成長し、前に進んでいく物語で、その彼らを結びつける土台としてレースがあるという感じなのですよ。に
その過程の描かれ方がホントぶっ飛んでいて前夜祭にアウトローはガンカタを始めたり、サムライは包丁で野菜の速切りを始めたりと収拾がつかない始末に(笑)個人的には今日日レースだけで物語を面白おかしくする展開には限界があると思うので、これはこれで正解だと思いますし個人的には大好きな見せ方です。そして物語の山場と谷間の描かれ方がとても明快でギャグや癒やしもバッチリなので痛快なのです。
そしてそんな彼らの前に現れた力で好き勝手やっているギル。もう典型的な悪役キャラですよ。彼は力さえあれば何でも出来るタイプのアウトローで時代の変化に逆らっているのですよね。そんな強敵ギルに前に進む彼らが一致団結して立ち向かっていくのですよ。勧善懲悪がハッキリしていて分かりやすく、アクション作画もバッチリなバトルで倒していくアツい物語なのですよね。
まるで時代劇やプロレスみたいな感じ、いや、西部劇そのものですかね(笑)
◆レースをもっと活かすことはできなかったのか?
この物語はレースがメインのテーマの物語ではないとはいえ、シャーレンやリオンとの出会いのエピソードはレースでしたし、1話冒頭でレーススタートから始まる上、中盤のレース展開も含めレースの描写も良く描かれていましたし、詰めに詰め込んだ最終回の展開から考えると、レースはどうした?って感想が出てくるのも無理はないのですよね。正直自分はレースがメインの話ではないことを念頭に置くのならこの物語の終わり方は完璧だと思うのですよね。
ただそれでもレースも活かしつつこの物語のやりたいことをやりきるならどうすれば良かったのか?と考えたのですよね。その答えとして、前時代の価値観に囚われたままだった者の象徴であるギルを真のラスボスにしてはいけなかったということです。突き詰めればあちらの理論で勝って終わったわけですからね。
つまり最終決戦は同じ前に進む者たちの中で主人公の発明ボーイの天晴と同じ土俵で戦える強敵が必要だったのではないのか。ということです。でも果たしてそんな存在がこの物語にいるのか?というといるんですよこれが。
技術者としての情熱が再燃したセスですよ。
彼は技術者としての道を諦め、経営の道へと進みました。彼の作った車に残っていた不自然な空間、それは彼が発明しようとしていたターボチャージャーのためのものですよね。そこを生かして真の最終決戦は天晴とセスの技術者対決とすれば、それも伏線となってレースの物語としても今以上に生きていたのでは?と思うのです。
(ここからはセスがラスボスだった場合の妄想劇です)
セスには彼が発明した新しい技術を共有する技術者の相棒(技術者としての道を選んだセス)がいて、経営の道へと進んだセスが彼を本流から外して窓際へと追いやった。その彼が影でセスが発明したターボチャージャーの技術を完成させ、ギルとの決戦後にセスの前に現れてセスの技術者魂が再燃する。(1ヶ月で1から企業として責任の持てる技術を開発するのは無理筋過ぎるか)1ヶ月後に再開されるレースでディランの車に搭載して挑み、最後の最後で天晴と鍔迫り合いの一騎打ちで、天晴が辛うじて先着して両者オーバーヒートで終結。
(妄想劇終わり)
実際に世に出たものの時点で1クールギリギリの13話ですからこれ以上は詰め込みようがないわけで(苦笑)全2クールとは言いません、あと1話必要でしたねギルとの決戦後のレースにおける真の決戦をやろうとするならば。
惜しいところがあったとはいえ、主人公の天晴にかなり共感できる部分があったこともあり、自分の中では天晴爛漫!は現状でも傑作級のオリジナルアニメでした。