HiraShineのたわごと

アニメを中心に映画などの感想を書くブログです。

ジビエート 感想&後日振り返り(ネタバレあり)『令和の世に爆誕した10年に1度クラスの愛すべき奇跡の怪作!?』

はい、夏アニメのまとめが終わった後なので個別に感想は書きにくかったのですが、書きたかったのでやります。

今回は

GIBIATE(ジビエート)

です。

 

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 ポスター画像より引用

評価(5点満点中):★★★★(4.25点)愛すべきクソアニメ評価点

※通常評価 2.00点 客観点(3点満点中)1.00点 + 主観点(2点満点中)1.00点

 

◆この作品の愛すべきところ

全てがヨシナガ博士のうっかりで片付く脚本と麗しきカツカレー

 

◆こんな人におススメ

  • 深夜アニメを数多く見てきた歴戦の猛者(笑)
  • アニメ制作のメタ的なところに興味がある人
  • 偶発的に作られた闇鍋的なアニメを期待している人

 

◆こんな人にはいまいち

  • 真面目な物語を期待している人
  • 論理的な展開や考察を期待している人
  • アニメ視聴経験の少ない人

 

◆初見の率直な感想


はい、もう1話目の時点からこのアニメはおかしいとなって普通の見方をしない方が良いとなっていました(笑)

数多のアニメ視聴の猛者が闊歩する令和の今日日、こんなツッコミどころだらけのアニメが作られるなんて予告等事前情報を見ないで一体誰が予想できただろうか(笑)

疫病禍の真っ只中の2020年にウイルスパニック物でワクチンの定義からしておかしいアニメが放送されるとかもう放送事故レベルですよ。

全話を通して5分に1回ぐらいツッコミが入れられるアニメなんて流石に初めての体験ですよ。思わず制作現場がどうなっていたのかが気になってしまう(笑)

時代考証?サバイバルの監修?何それ?状態だと言わざるを得ない感じなのですが、それが1周回って凄いとか面白いになっている愛すべきクソアニメ(半分褒めています)となっているのですよね。

事前に見ておいたほうがより楽しめるコンテンツとして関係各者のインタビュー記事と、アニメ制作を物語にしたSHIROBAKOをオススメしておきます。メタな側面を知っておけば何でこんなアニメが作られたのかが少し見えてより楽しめるようになるでしょう(笑)

◆ツッコミが追いつかなくてハライテーw


1話目から登場のヨシナガ博士、もうビジュアルと池田秀一の声の時点で絶対怪しいってなっていましたが、それ絶対頭がキレて企んでいるキャラのやるようなことじゃないよね?って言動の連発で、単に一歩引いて状況を語っていれば賢く見えるだろうみたいなノリのキャラになっていて、様々などんでん返しの物語を見てきた視聴者を惑わせることに見事成功(笑)

そして11話での秘密の暴露で多くの視聴者がひっくり返った衝撃の事実!!

私とメテオラは…この星の人間ではない!

超展開にも程があるわ!!伏線仕込んでおけよ!!

全ての謎はこの星の人間じゃないからというトンデモ設定も可能じゃないか!!(笑)

 

しかも博士はここまで真面目にワクチン(治療薬だろ(笑))を作っていてメテオラの死を目の当たりにしてからの副産物として出来た薬と合わせて使っての逆ギレによる裏切り(笑)で今まで怪しいとされてきた言動の多くが天然によるうっかりとか……単に前々から良からぬことを企んでいたのならテンプレにもなるけどこれはテンプレじゃなくてトンデモです。

何それ!?とばっちりもいいとこだよ!

メテオラは私の恋人だと地球外の人間であることを隠して先に言っておけば大丈夫だったんじゃねーのかよ!

と誰もが思ったはず(笑)

 

と流石にピークはこの11話ですが1話から12話まで大体こんな感じのノリなんですよね。

はい、全ては博士のうっかりが原因でした(笑)

脚本の時点で誰がツッコんでやれよ!ツッコめなかったのか……。

◆やろうとしていたことは意外とシンプル


とはいえ最後まで見て思ったのは、このアニメがやりたかったのはサムライとオリジナルのクリーチャーを使った救われないゾンビ物というシンプルでわかり易い物語だったということですね。

それが作りがおかしいことだらけで目の肥えた視聴者には複雑で図らずも狂ったことをやっているアニメになるんじゃないか!?という目で見られて1周回ってウケてしまったということですね。

ただウケているのはおかしいことになっているからで、真面目に考えたら2,3話前にやったことは忘れていそうで余計な回想ばかりをやる脚本や、ブレブレの設定にユニークな劇伴、声優の力を生かしきれない台詞回しや演出、明らかに経験不足&予算が回っていない作画など駄目なところだらけだという事実はそこにあるわけです(苦笑)

あ、でも真面目に良いところもあったのですよ。

千水の主の打ち首とジビエ化しそうになった前田殿が千水によって首を斬られるのが重なったのとか、(既に刃こぼれしていて次回で貰った刀折れるけど)

雪之丞と母上の最後の戦闘をあえてバッサリ省略したのとか、(余計な回想や悪党のズッコケ日常劇バトルをやってグダグダになっているけど)

正直なところこの救われないラストもこの手のジャンルとしてはそんなに悪くはないと思ったのですよね。

あれで解決してハッピーエンドになったらそれこそトンデモですし(それはそれで面白い(笑))確かにジビエ化した博士を倒した以外何も問題は解決していませんが、ゾンビサバイバル物なら救いのないバッドエンドとしてサムライとキャスの出会いから始まって、二人の別れで終わるという良い形にはしっかりなっていましたし、兼六としても島流しの船から千水との二人で始まって、キャスと二人で船に乗って海へ出て終わるという繰り返される運命を感じさせるようにもなっていましたし(いやだから何で戦国時代の忍者が現代の船を操縦出来るんだよ(笑))

大枠の流れ自体は決して悪くはなかったです。しかしながらこのクオリティだと……。

 

あーもうラストバトルもホントにアレだよアレ!!

折角キャスが経験してきた親しい人との別れと悲しみの経験を、博士の自分勝手とバトルの中で対比させて活かすことが出来ればそれはそれで美味しい展開になっていたのに!!博士の受け売りで攻撃するとかそんな伏線あったか?ってなったし、博士の最終形態(キャスの電撃で弱体化したと推測)の表情の豊かさは作画制作陣の愛すべきアニメにするための最後の悪あがき(褒めています)に見えたし、大体キャスリーンよ!!アレだけのことを経験しておいてまるで成長したようには見えないのは一体どういうことなんだよ(笑)母親や雪之丞が亡くなったのに決意みたいなシーンがあったかと思えば脚本書いた人がもう忘れてしまったのか?と疑いたくなるぐらいその後もそれまで通りの仲間との接し方になっていて滅茶苦茶切り替えが早いし、カレー粉と火薬が似ているらしい爆弾カツカレー君や、勝負に勝つがカツカレーエピソードのオチならガルパンの世界にでも行ってくれよって言いたくなるヤクザの親父や、体の良いキャラ紹介&設定語り以上の機能をしなかったAV風インタビューに、全部何やらの為せる技なのかと考察する気も失せた都合よくデパートに展示されていた転移者達の武器に、クスリのアオキ朱鷺メッセと……もうツッコミ始めたらキリがないです(笑)

 

ぶっちゃけサムライの無双で日本をカッコよくアピールできるアニメにしたかったのなら天晴爛漫!で良かったんじゃないか?って真剣に思っていましたからね(笑)あちらもジビエートと同様にサムライ無双も、悪党との共闘のアツい展開も、カンフーガールも、爆弾デブも、温泉も、投網もあるんですよ!ゾンビサバイバル物じゃなく西部劇ですけど(笑)あーカツカレーが無いから駄目か(笑)

 

 

とはいえ制作側が想定していたそれとは違うとはいえ1周回って楽しませてもらったのもまた事実なわけで

ジビエ(のワード)

池田秀一の声

カツカレー

が出てきたらジビエートを思い出すようになってしまいました(笑)

暗いことが多い昨今の状況下で、ひねくれてはいるものの深夜アニメ視聴者に図らずも笑いを届けてくれたジビエートに感謝したいのが今の心境ですね(笑)

 

最後に……

楽しいアニメ視聴のひと時をありがとう!ジビエート!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2020/7-9月期終了アニメアンケート

これまではツイッターから投稿していましたアニメ調査室(仮)さんのアニメアンケートですが、ブログ投稿再開しましたのでブログ投稿で参加させていただきます。

◆2020/7-9月期終了アニメアンケート


 

2020秋調査(2020/7-9月期、終了アニメ、42+3作品) 第58回

01,うまよん,x
02,天晴爛漫!,A
03,ジビエート,D
04,デカダンス,A
05,あひるの空,x

06,戦乙女の食卓,x
07,異常生物見聞録,E
08,バキ 大擂台賽編,x
09,アラド : 逆転の輪,x
10,彼女、お借りします,A

11,ド級編隊エグゼロス,C
12,放課後ていぼう日誌,S
13,魔王学院の不適合者,F
14,食戟のソーマ 豪ノ皿,x
15,ハクション大魔王2020,x

16,宇崎ちゃんは遊びたい!,B
17,とある科学の超電磁砲T,x
18,モンスター娘のお医者さん,A
19,ノー・ガンズ・ライフ 第2期,x
20,ピーター・グリルと賢者の時間,A

21,文豪とアルケミスト 審判ノ歯車,x
22,恋とプロデューサー EVOL×LOVE,x
23,テレビ野郎 ナナーナ 怪物クラーケンを追え!,x
24,やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完,x
25,THE GOD OF HIGH SCHOOL ゴッド・オブ・ハイスクール,x

26,ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld 最終章,x
27,ガンダムビルドダイバーズRe:RISE 2nd Season,x
28,ムヒョとロージーの魔法律相談事務所 第2期,x
29,Re:ゼロから始める異世界生活 2nd season,x
30,Lapis Re:LiGHTs (ラピスリライツ),x

31,フルーツバスケット 2nd season,x
32,富豪刑事 Balance:UNLIMITED,x
33,GETUP! GETLIVE! #げらげら,x
34,ポータウンのなかまたち,x
35,(10話までの暫定評価) 忍者コレクション,x

36,GO! GO! アトム,x
37,エッグカー,x
38,(特番) 巨人族の花嫁,C
39,(特番) オオカミさんは食べられたい,x
40,(地上波初放送) 無限の住人 IMMORTAL,x

41,(地上波初放送) 銀河英雄伝説 Die Neue These (邂逅 / 星乱),x
42,あの世のすべてはおばけぐみっ!,x

参考調査

t1,(参考調査) ULTRAMAN,x
t2,(参考調査) HERO MASK,x
t3,(参考調査) A.I.C.O. Incarnation,A

 

{総評、寸評} 

(名前横点数は当ブログ基準の点数)

 

S(傑作級)

・放課後ていぼう日誌(4.50点)

釣りが嫌いな自分でも日常、趣味、緩い部活動青春物としては満点に近いレベルで楽しめた。

 

A(良作)

・天晴爛漫!(4.50点)

熱い展開と主人公天晴に共感し楽しめたものの回収しきれていない伏線もあるので惜しいところ。

デカダンス(4.25点)

終盤の熱い展開は良。システム周りのエピソードがスッキリしないところが残念。

・彼女、お借りします(4.25点)

コメディ要素が強いラブコメ。ダメ主人公和也に共感理解出来るか否か次第。

・ピーター・グリルと賢者の時間(4.00点)

微妙に賢者タイムの楽しさとは違っていたけど、主人公がいじられるエロコメがツボ。

A.I.C.O. Incarnation(4.00点)

子安親子以外みんなハッピーエンドでちょっと都合が良すぎ。ロケ地への愛は感じた。

モンスター娘のお医者さん(4.00点)

終盤のお姉様方のやり取りが特に良。堅実な物語の積み重ねが功を奏した。

 

B(準良作)

・宇崎ちゃんは遊びたい!(3.75点)

凄いデカイ眼鏡モブだらけのニヤニヤ系ラブコメ。2期やることあるの?

 

C(凡作)

巨人族の花嫁(3.25点)

僧侶枠にしては話が頑張っていた。でもホモじゃ繁栄できない。

ド級編隊エグゼロス(3.25点)

後期キッズ向けのエロアニメ。表現規制派を揶揄する敵の設定だけは良。

 

D(準駄作)

ジビエート(2.00点(愛すべきクソアニメスコア4.25点))

嘲笑でウケているので真面目に考えると駄作。脚本と演出を中心にあらゆる面が酷い。

 

E(駄作)

・異常生物見聞録(1.75点)

掴みどころがない物語。劇伴が特に酷い。作画も微妙。クソアニメとしても笑えない。

 

F(途中切り)

・魔王学院の不適合者

とりあえず笑えはした。気がついたら見なくなっていた。

 

◆2020/7-9月期総評


今期はアニメオリジナル物が強かった印象を受けましたね。春期ほどの豊作ではないものの、そこそこ良作が多かったシーズンでした。

ジビエートは……裏の覇者として2020年記憶に残ったアニメベスト1ということになりそう(苦笑)

 

 

 

天晴爛漫! 感想(ネタバレあり)『前に進んでいく者たちの時代を切り開いていく物語』

こんな感じで深夜アニメの感想を全話終わった後にブログ記事にしていくとクールの代わり目の負担が大変なことになりそうですがやります(笑)

今回は

天晴爛漫!

です。

 

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 ポスター画像より引用

評価(5点満点中):★★★★★(4.50点)

客観点(3点満点中)2.50点 + 主観点(2点満点中)2.00点

 

◆こんな人におススメ

  • リアリティよりもケレン味を優先した物語が大丈夫な人
  • 勧善懲悪のサクセスストーリーが好きな人
  • P.A.WORKSのアニメを期待している人

 

◆こんな人にはいまいち

  • 考察を楽しめるアニメを期待している人
  • リアリティやガチのシリアスを期待している人
  • ガチのレースアニメを期待している人

 

◆初見の率直な感想


えっ!?主人公野郎だった!?

最初主人公は女の子だと思って見始めたのですよね(笑)

一見レースがメインテーマになっている内容に見えますが、アウトロー達の存在とその変化から、これは

変わっていく者、前に進む者たちの物語

じゃないかなと思いましたね。

レースをメインテーマにするのなら、1話からレースを始めてその中での出会いや成長、必要に応じて回想を挟む展開にすれば良いので、物語の中盤からレースが始まるということから、レースがメインテーマのアニメではないということは何となく解っていました。

キャラの個性の強さや、展開の楽しさを優先するためにリアリティは控えめで、何故サムライの時代の影響が残る時代の日本人がアメリカに行って難なくコミュニケーションがとれるのか?とか、日本のクソガキの発明が通用するのか?などのツッコミを入れるのは野暮というやつです。

要は

サムライ!カンフー!レース!酒!温泉!西部劇ガンアクション!

……そんな感じの細かいことは気にするなってノリの物語です。

あまりシリアスにもなりすぎずロジカルな考察も基本的にはない、ケレン味で押して問題を解決していくタイプの物語で、これは自分の好きなタイプですね。

 

◆良い意味でメチャクチャ(笑)


この物語のメインキャラは基本的にはみ出しものや変わり者ばかりで

キテレツなジャパニース発明ボーイに

レーサーになりたいカンフーガール

気前のいい大企業のお坊ちゃま

恋人を失った悲しみを引きずっている女々しいアウトロー

ファッションや言動が狂っているアウトロー

大物アウトローと偽ってレースに参加する義賊のアウトロー兄弟

……とまぁホント個性が強すぎ(笑)そこにキテレツ発明ボーイに共にアメリカに渡ったちょっと気弱で面倒見が良いサムライと親の敵討ち狙っている原住民の子供ですよ。

 

この物語はそんな彼らが自分自身が抱えた試練を乗り越えて成長し、前に進んでいく物語で、その彼らを結びつける土台としてレースがあるという感じなのですよ。に

その過程の描かれ方がホントぶっ飛んでいて前夜祭にアウトローガンカタを始めたり、サムライは包丁で野菜の速切りを始めたりと収拾がつかない始末に(笑)個人的には今日日レースだけで物語を面白おかしくする展開には限界があると思うので、これはこれで正解だと思いますし個人的には大好きな見せ方です。そして物語の山場と谷間の描かれ方がとても明快でギャグや癒やしもバッチリなので痛快なのです。

そしてそんな彼らの前に現れた力で好き勝手やっているギル。もう典型的な悪役キャラですよ。彼は力さえあれば何でも出来るタイプのアウトローで時代の変化に逆らっているのですよね。そんな強敵ギルに前に進む彼らが一致団結して立ち向かっていくのですよ。勧善懲悪がハッキリしていて分かりやすく、アクション作画もバッチリなバトルで倒していくアツい物語なのですよね。

まるで時代劇やプロレスみたいな感じ、いや、西部劇そのものですかね(笑)

◆レースをもっと活かすことはできなかったのか?


この物語はレースがメインのテーマの物語ではないとはいえ、シャーレンやリオンとの出会いのエピソードはレースでしたし、1話冒頭でレーススタートから始まる上、中盤のレース展開も含めレースの描写も良く描かれていましたし、詰めに詰め込んだ最終回の展開から考えると、レースはどうした?って感想が出てくるのも無理はないのですよね。正直自分はレースがメインの話ではないことを念頭に置くのならこの物語の終わり方は完璧だと思うのですよね。

ただそれでもレースも活かしつつこの物語のやりたいことをやりきるならどうすれば良かったのか?と考えたのですよね。その答えとして、前時代の価値観に囚われたままだった者の象徴であるギルを真のラスボスにしてはいけなかったということです。突き詰めればあちらの理論で勝って終わったわけですからね。

つまり最終決戦は同じ前に進む者たちの中で主人公の発明ボーイの天晴と同じ土俵で戦える強敵が必要だったのではないのか。ということです。でも果たしてそんな存在がこの物語にいるのか?というといるんですよこれが。

技術者としての情熱が再燃したセスですよ。

彼は技術者としての道を諦め、経営の道へと進みました。彼の作った車に残っていた不自然な空間、それは彼が発明しようとしていたターボチャージャーのためのものですよね。そこを生かして真の最終決戦は天晴とセスの技術者対決とすれば、それも伏線となってレースの物語としても今以上に生きていたのでは?と思うのです。

 

(ここからはセスがラスボスだった場合の妄想劇です)

セスには彼が発明した新しい技術を共有する技術者の相棒(技術者としての道を選んだセス)がいて、経営の道へと進んだセスが彼を本流から外して窓際へと追いやった。その彼が影でセスが発明したターボチャージャーの技術を完成させ、ギルとの決戦後にセスの前に現れてセスの技術者魂が再燃する。(1ヶ月で1から企業として責任の持てる技術を開発するのは無理筋過ぎるか)1ヶ月後に再開されるレースでディランの車に搭載して挑み、最後の最後で天晴と鍔迫り合いの一騎打ちで、天晴が辛うじて先着して両者オーバーヒートで終結

(妄想劇終わり)

 

実際に世に出たものの時点で1クールギリギリの13話ですからこれ以上は詰め込みようがないわけで(苦笑)全2クールとは言いません、あと1話必要でしたねギルとの決戦後のレースにおける真の決戦をやろうとするならば。

惜しいところがあったとはいえ、主人公の天晴にかなり共感できる部分があったこともあり、自分の中では天晴爛漫!は現状でも傑作級のオリジナルアニメでした。

 

 

 

 

彼女、お借りします 感想(ネタバレあり)『レンタル彼女たちがカワイイ!→そんな君達が羨ましい(笑)』

深夜アニメも気になったものは放送終了後にまとめとしてブログでやっていきます。

連続深夜アニメ第一弾は

彼女、お借りします

です。

 

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 ポスター画像より引用

評価(5点満点中):★★★★(4.00点)

客観点(3点満点中)1.50点 + 主観点(2点満点中)2.50

 

◆こんな人におススメ

  • ダメ男、クズ男に共感もしくは理解できる人
  • 男性向けに描かれた女の子が好きな人
  • コメディ色の強い恋愛ドタバタ劇を期待している人

◆こんな人にはいまいち

  • ろくでもないことをする人の物語が嫌いな人
  • リアリティを無視してまで描かれるコメディが苦手な人
  • 少年漫画のラブコメが苦手な人

 

◆初見の率直な感想


そうそう!この主人公!

こういう棘のないダメ男子主人公のラブコメを待っていたんだ!

 

……これが正直な感想です(笑)

ああもうしんみりするシーン以外ずっと笑いっぱなしでしたわ。嘲笑ともちょっと違う解るからこその"あるある"とか"こういう思考のやついるよね"みたいな笑いですよ。主人公和也の言動がもうラブコメディとしてツボなのですよね。

 

この物語、シチュエーションがありえない(笑)

頼んだレンカノに青臭い説教をしたらキレられて(ここまではいい)お互い祖母の入院している病院が同じでレンカノ関係がバレないように仕方がなく付き合って、気がつけば住むところもお隣どうしで通っている大学も同じとか……。

こんな都合の良いシチュエーションがあってたまるか!

 

要するにコメディをやりたいのですよねこれ。しかもこんなことがあったら面白いだろ?的な妄想の中のありえない奇跡的なシチュエーションで。ありえない恋愛シチュエーションに遭遇したウブでクズな主人公和也を困らせダメムーブに笑うラブコメなのですよこれ。

 

女の子達がガチでカワイイ?

よかったね。リアル和也乙。

 

◆結局のところ主人公和也に共感・理解できるか次第


この物語、そもそもクズの主人公和也に共感もしくは理解できずに不快に感じるとなるとコメディとして成立しないのですよね。少年漫画のラブコメだけあって読者の共感を狙うよう女の子達も、和也にとって都合の良い言動を頻繁にしますし、和也は一向に成長しない(成長しても3歩進んで2歩下がる成長)し、主体的に問題を解決することも基本的に無いしあったとしてもリアリティが薄い都合の良い展開なのですよ。

 

要するにこの物語、問題解決のプロセスを楽しむタイプの物語じゃなくて

主人公和也に共感する(悪く言うと傷を舐め合う)人間臭さを楽しむ物語じゃないかと思うのですよね。

 

勿論最終的には彼は千鶴と結ばれる(よね?)という問題解決に向かうのでしょうけど、この物語の面白いところはそこじゃないのですよ。問題が解決しそうになったら新たな問題が爆誕する。そこでまた和也があたふたしてそれが面白い。これがこの物語のセオリーなのですよね。

 

◆この物語にリアリティはあるのか?


あるとすればシチュエーションのベースとなる設定と各キャラ達の情動や感情かな。しかもピンポイントで。和也達男性陣は女の子達よりリアリティが感じられるかというと、彼らの言動も結構虚構が目につくのですよね。例えば瑠夏にフラれた栗林へレンカノとして千鶴を充てがうフォロー。あれは下手をすれば傷口に塩を塗る結末になるかもしれませんよ。あれで立ち直った栗林は笑いよりもご都合主義感が先にきましたね。まぁご都合主義だから笑えるところもあるのですけど。

ここまで話をしてきたことは原作の問題が中心かと思われますが、ではアニメ制作の仕事ぶりはどうかというとこれがまた素晴らしいのですよね。

キャラデザの安定から始まり絶妙な劇伴に攻めた演出。例えば主人公が自慰に走るときのBGMや吹き出し外のツッコミをそのまま字に起こした演出、原作でもあったらしいここぞというシーンでタイトルドーンの演出をそのままやったりと、これはこの物語はコメディとして特化するのがベストだというアニメ制作の理解の高さが凄いです。かたや結ばれていない靴紐の靴を見せて台詞を回す演出などからはキャラクター達の心情が映像としてそれとなく伝わってくる攻めっぷりですよ。

 

仮に物語自体が駄目だと思ってもアニメ制作の仕事ぶりは評価してほしいですね!

 

話がそれましたが、この物語に出てくる女の子達、自分はあまり良い娘たちだとは思えないのですよね。ビジュアル以外は(笑)彼女達の物語的に都合の良いところをリアルに置き換えると、この娘頭大丈夫?みたいな娘ばかりで(苦笑)人柄的にピンポイントで輝くところはありますし、ビジュアルは良いですよ(笑)

ただ少しずつ彼女たちは成長しています。少なくとも和也よりは成長速度は早い(笑)

 

自分は思うのですよね、彼女たちが和也を始めとしたこの物語に出てくる男性陣のように女の子達可愛くて良い!と感想を上げている人達のピュアなところがちょっと羨ましいと(笑)

恋愛って結ばれることを目指すのなら勢いが大事なところもあるのですよね。

 

物語としてはコメディとして見てもやり過ぎ(コメディじゃなかったら作者も頭おかしいんじゃないか?ってレベル(笑))なところもあり問題がある感じですが、

自分はこのろくでもない人達のラブコメ、かなり楽しめましたね。

2期も期待しています!!

 

 

 

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン 感想(ネタバレあり)『君はヴァイオレットの愛に耐えられるか!?』

ブログからはお久しぶりです。

この度のコロナ禍による劇場の休止再開後の劇場鑑賞第一弾をきっかけにブログでのアニメ感想をリニューアルし復活させていきます。

再開後第一弾は

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン

です。

 

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 ポスター画像より引用

評価(5点満点中):★★★★(4.25点)

客観点(3点満点中)3.50点 + 主観点(2点満点中)0.75点

※初回なので新しい採点方法の説明

客観点…演技や作画脚本等作品のクオリティなどの技術的な評価 3点満点

主観点…自身の好き嫌い等主観的な評価 2点満点

合計5点満点

ただし主観客観どちらかが特に高い場合は満点をオーバーすることあり。

(点数に色が付きます)

それでも合計点は5点以内に収まる評価になります。

 

◆こんな人におススメ

  • 愛を中心とした個人主観の感動と共感の物語を味わいたい人
  • 女性視点のファンタジー寄り恋愛ドラマを楽しみたい人
  • 京都アニメーションの映像美を味わいたい人

◆こんな人にはいまいち

  • お涙よりもロジカルな問題解決の物語を求めている人
  • 抽象的なメッセージ性よりもリアリティを求めている人
  • 男性が受け身になる物語が苦手な人

 

◆初見の率直な感想


2度の延期を経て2019年の事件以後、最初の京都アニメーションによる劇場アニメなのですが、純粋に1つの物語として楽しみたかったので、物語外の情に訴えるような事情は極力排除して鑑賞しました。

まず全くの初見の人は大丈夫か?というと、ヴァイオレットと社長のホッジンズとの関係など解かりにくいところはいくつかあるものの、最小限の表現で読み解き想像で補完することを鑑賞者に求める、限られた枠で描かなければならない映画ならではの見方を身に着けている人なら、おそらく問題なく見れるかと思います。勿論TV版のエピソードも関連してきますから、そちらを見てから劇場版を見る方が良いに越したことはありません。

過酷だった過去の経験から、特異な人間性を見せるヴァイオレットが、手紙とその代筆の仕事を通じて人々と関わりあい、そのギャップを経験しそこから学び成長して愛を知り愛する人を目指す物語……なわけですよ。

 

 

映像美や演出の巧みさは流石京アニといえるクオリティで何処を見ても目を見張るものがありましたね。物語の展開も終始吉田玲子節が炸裂した巧みさが光っていました。比較対比できるエピソードを同時進行させて鑑賞者に訴えかけていくとか凄いです。いやもうこれだけで劇場に足を運んだ価値がありましたよ(笑)

 

とはいえ個人的には絶賛とはいかないのが正直なところで、前回の外伝同様に劇伴の主張がやや強いのと、ここぞというところの台詞が説明気味で、次に示す理由故にリアリティよりもメッセージ性やテーマを優先した作りになっていたところが少々気になりました。

あとこれが一番重要なところでシリーズを通して見られることなのですけど、落涙はするのですが主人公ヴァイオレットの過酷な過去の経験によるクールさと愛する人を求める燃えたぎる情熱の起伏の激しい感情の変化に、共感と感情移入がしづらいキツさがありました。

特異なヴァイオレットと市井の人たちのギャップが合わせ鏡となって、ヴァイオレットやそれ以外の人たちの人間性が際立ってくるところは良いのですけどね。

 

TV版の頃からこれはあまり自分向けの物語ではないとなったわけです。

 

◆気になるところはいくつかあるものの……。


劇伴、高い映像力で十二分に人間模様を表現できるにも関わらず、かつての2DドットキャラのRPGの如く劇伴が饒舌なところが気になったのですよね。これだけの映像表現力を持った京アニですから、BGMは添え物程度で十分物語を表現できるはずです。やはりファンタジーだからこそのこの劇伴の主張なのでしょうか。

 

台詞回し、口語ではなく説明口調の台詞回しのシーンがままあると感じました。リアリティを求めるなら台無しになるのですけど、そもそもヴァイオレット・エヴァーガーデンファンタジーの中に垣間見るリアルを堪能する物語だと思うのですよね。

それにこの物語のテーマとして想いを言葉や文章で伝えることがあると思うのでリアリティよりもそのメッセージ性の表現を優先させるのならありだと感じましたね。

 

そして過酷な経験をし想い人がいる一人の女性を描いたストーリー、感情移入がしづらいので一歩引いて理解する視点で見ていました。極端なキャラなので結局みんな一歩引いて理解するレベルで大絶賛しているのか?とも考えたわけですけともね(苦笑)

 

あと、出てくる男性の大半がイケメンなのはどうなんだ(笑)それでいて主要メンバーの男性は人間関係的には大体甲斐性なしと来て浮足立っているように見えました(笑)後者は個人的な好みとしてはまぁいいとして、声優の子安氏がやつれたイケメンおじさん保護者のキャラをやっている時点でジャンルはお察しか(笑)それ故なのか戦争があった後の世界にしては人々が優しすぎる世界だとも感じたわけですよ。

あ、あとこれポスターで少佐生きてたってネタバレしているよね?(苦笑)亡くなっていた結末ならそこには分からないよう生前の少佐の姿が写っているよね?彼が生きていたことは予定調和ですか?自分は映画の事前情報としてポスターすらもスルーしてきたので、そこだけはヴァイオレットに一部共感してハラハラしながら見ることができました(笑)

 

 

正直なところ、自分向けとはやや言い難いこの物語には、そこそこ程度の期待しかしていませんでした。

一人の女性の自分自身の共感とはやや離れた物語を、一歩引いた位置で理解し、京アニのアニメーションならではの優れた表現技術に感嘆し、吉田玲子の巧みな脚本で涙する。それが達成されていれば自分の中でのヴァイオレット・エヴァーガーデンは絶賛になることはないにしても良かったとなるわけですよ。人を選ぶところがありますが合いそうな人には十二分に進められる良作ですし、個人的にも求めていたものの範囲内で概ね満足しており、まずまず良い作品として評しました。

 

ヴァイオレット・エヴァーガーデンは共感で問題を解決し成長していく、一人の女性を描いた主観と共感の物語なのですよね。

 

映画HUGっと!プリキュア ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ 感想(ネタバレ有り)『世界よ、これが日本のヒーロープリキュアだ!』

今年もこの時期がやってきました(笑)

 

今回は

映画HUGっと!プリキュア ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ

 

です。

今年の秋映画は前情報からサプライズのてんこ盛り(笑)

HUGっと!のTV版は大体鑑賞済み。今回もネタバレ全開でぶちまいていきます。

 

 

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 公式サイト予告動画より引用

 

個人的好感度:★★★★★(★5個中)

◆こんな人におススメ

◆こんな人にはいまいち(今回ばかりは願わくばそれでも見てほしい!)

  • ヒーロー物の展開が苦手な人
  • 3DCGのアニメーションが苦手な人
  • 説明台詞が苦手な人

 

◆初見の率直な感想なのです


 

ああ…眼福。15年の歴史は伊達じゃない!

これまでのプリキュアの集大成、オールスターズの映画であり、

プリキュアの原点、初代のふたりはプリキュアの映画であり、

そして何よりも、最先端現行のHUGっと!プリキュアの映画であり、

更にはシリーズを通しての一貫したメッセージ性と、

監督の作家性(趣味や好み)も反映した(ここはあくまでも私の主観ですが)要素を

僅か70分強の短い時間でまとめ上げて上手く成立させてしまった

とんでもない内容の映画なんですよ!凄すぎです!

 

この映画は女の子を始めとするプリキュアファンの為だけの映画なのか?というと

必ずしもそうじゃないんですよね。

社会的なメッセージ性のある児童向けのアニメが好きな方でしたら

大人でも満足することができる内容になっていると感じました。

 

それと、今作はこれまでのCGと作画のミックスで作られた

プリキュアの劇場作品の中でもその差に一番違和感無く作られた

とても美しい映像作品でもあったのですよね!

 

音楽も各シリーズを反映したアレンジになっていましたし、

バトルアクションシーンも期待通りの熱いものでしたし、

お約束のミラクルライトの使用シーンも、今までにない激熱な展開であることに加え、

それ以外でも劇中でプリキュア達がミラクルライトを使うことで、

自然と使いたくなる工夫がされていてよかったと思いました。

 

初回を見たときはもう最初から最後までいろんな尊さが混ざりあって泣きっぱなし(笑)

プリキュアの映画としては欠点なんてほぼない素晴らしい映画でしたね!

 

◆アクションが熱いアニメなのです!


 

女の子が主人公の活躍するアニメといえば、

可愛らしいとか優しい展開を思い浮かべるかと思いますが、

もちろんそれもあるのですけど、やっぱり

プリキュアといえばバトル

なんですよね!

 

初っ端から横浜を舞台に初代の3人がやってくれます!

殴る蹴るのアツい肉弾戦を!

プリキュアのコンセプトは女の子だって暴れたい!ですからね。

今回のこの映画でも前半は主に作画で、後半はCGで、

下手なアクションバトル物顔負けのアクションを見せてくれました!

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 公式サイト予告動画より引用 こんな美しい世界で女の子たちが殴って蹴って戦うんですよ! 

それでいて可愛い衣装に身を包んで女の子らしい仕草も見せるんです。

子供をはじめ多くの人から愛されてきた理由のひとつがここにあるんですよね。

 

◆メッセージ性も凄いアニメなのです!


 

プリキュアはシリーズによって愛だったり夢だったりとテーマが異なりますが、

共通しているのが主に中学生の女の子が変身して戦うということです。

 

今年のHUGっと!プリキュアは、育児がテーマのひとつにあるのですよね。

この映画の劇中では、敵のミデンの攻撃によって

プリキュアが赤ちゃんにされてしまいます。

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 公式サイト予告動画より引用 よく見ると各キャラの特徴が表れていますね(笑)

カワイイって思ったでしょ!?

ねぇ!?カワイイって(笑)

 

でもそれだけじゃないのがこの映画の凄いところで、

現行の主人公の野乃はなと初代の美墨なぎさのふたりだけで

赤ちゃんにされてしまった仲間のプリキュアの面倒を見なければならない

シーンが出てくるんですよ。

そこは映像としてはとても可愛いのですが、

ひとりの子をあやしていたら、ほかの子が悪さをしだしたり、

脱走したりともう大変……。

 

ついにはなは耐えられなくなってしまって泣き出してしまいます。

そこでプリキュアなのにしっかりしろ!(かなり雑な要約です)みたいな

ことを言われてしまうんですよね。

でも、そこで先輩格のなぎさが言うんですよ、

プリキュアだって普通の中学生なんだよ!

って。

 

子供向けの作品だからといって、決して赤ちゃんを育てることは

キラキラしていて素敵なことだけでは終わらせない、

可愛く描きつつも育児の厳しさや辛さも描いているんですよね!

可愛さとシビアさのバランスが絶妙なんですよ。

これは簡単に出来ることじゃないと思います。

 

 

そしてこの映画でのもうひとつのメッセージ性の源泉、

敵として出てきたミデンの存在です。

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 公式サイト予告動画より引用 怖い敵キャラですが最後まで見たら共感できるのですよ。

ミデンはプリキュア達の記憶を奪い、赤ちゃんにしてしまうのですが、

いくらプリキュアの記憶を奪っても満たされません。

 

はなとなぎさは自分たちの中にある仲間たちとの思い出から、

仲間たちを復活させて一度はミデンを撃退します。

私には仲間がいるから辛いことがあっても乗り越えられる!(要約)

 

その言葉に怯むミデン。

ミデンは時代に捨てられたフィルムカメラで、

孤独ゆえに満たされない感情を満たすために

プリキュア達の記憶を奪っていたのです。

 

そうして再びミデンと会いまみえた時、

キュアエールこと野乃はなは自答するのです。

(仲間が戦っている中、ひとり自問自答する姿がまたカッコいい!)

 

そうしてはなはミデンの心に寄り添う道を選ぶんですよね!

 

その後、復活した各プリキュア達がそれぞれのスタンスで

キュアエールとミデンを後押しするのです。

 

真のミデンの感情に触れはなと和解した(ここの演出も凄い)ミデンは

最後に55人のプリキュア達によってミデンは倒されるのではなく

救われるのですよね。

 

プリキュアを愛する大人たちだけでなく、

世間から後ろ指を指されそうな趣味を持っていて

満たされない感情を抱えている孤独な大人たちは、

きっとミデンに心底感情移入できたのではないかと思います。

 

そんな人にでさえ、

プリキュアは等しく癒しと救いを与えてくれるんですよ。

 

 

世の中生きていくのは辛くて苦しい、

だから子供向けのアニメで語られるメッセージなんて綺麗事だ!

実際そうなのでしょう。

 

でもだからこそ、その純粋なメッセージが重く心に響いて

辛い世の中を明日へと生きる大人たちの活力と癒しとなるのだと思います。

 

◆キャスト・スタッフについて考えるのです


 

今作の監督は宮本浩史、過去作では

プリキュアのエンディングでのCGダンスを作られたり

映画 Go!プリンセスプリキュア Go!Go!!豪華3本立て!!! プリキュアとレフィのワンダーナイト!の1本でオールCGの物語を担当し、

映画 プリキュアドリームスターズ!では丸々監督を担当された方です。

これらの作品から、個人的には

プリキュアの枠を超えた物語を作られる方というイメージがあります。

 

ツイッターアカウントのフォローをして拝見していたのですが

この映画の制作の環境は相当大変だったということが、

ツイートの一端から垣間見えていました。

そもそもプリキュアの映画は毎年2本つくられているのですよね。

人員も多く体制が整っていると思われる東映アニメですが、

他の名作劇場アニメは何年もかけて作られる中、前作のドリームスターズから

2年も経たずにこの映画が作られたんですよ!凄い事じゃないですか!?

 

さらに、カメラが劇中の物語の鍵になるアイテムとして出てきたときは

もう鳥肌が立ったんですよね!

監督はツイッターでカメラ趣味についても語られていたので、

これはひょっとして監督の作りたかった作品でもあるんじゃないか(あくまでも私の勝手な想像です)!?

と感じたのですよ。

 

脚本の香村 純子、この人もなかなか面白い人です。

スーパー戦隊を中心に主に特撮の脚本をやっている人で

動物戦隊ジュウオウジャー仮面ライダーウィザード

現行の怪盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー

などを作られていて、プリキュアだと、

バトルがアツかったGo!プリンセスプリキュアの脚本をされていた方です。

今作でのバトルの魅せ方がアツいものに仕上がっていたのは、

これらの脚本経験がある方だったからだというところも

大きかったんじゃないかと思います。

 

そしてミデンのキャストの宮野真守

あのネットリしているけど巧妙な巧の技が垣間見れる演技は

ガチの本職声優じゃないと出来ないでしょうね!

ゾンビランドサガといい本当に今一番イケイケな声優のひとりですね(笑)

 

 

それと歴代プリキュアのキャストを全員そろえたところも、

お祭りスペシャル的な映画だからとはいえ凄いところですよね!

 

◆本編を見なくても楽しめますが見てほしいのです


 

今作は、ファン向けのファンサービスが満載の映画ではありますが、

上に書いたようにプリキュアを見ていなくても

楽しめる要素がある映画となっています。

特に若おかみは小学生!を見て賞賛している大人の皆さん、

今回の映画プリキュアには高坂希太郎が若おかみでは描かなかったものがあります。

 

第一印象はどこからどう見ても子供&ファン向けで、

その内容もかなり子供向けのファンタジーに寄っていますが、

内に秘めたるメッセージ性は相反する面もあるとはいえ、

(具体的に言うと若おかみの減私とはプリキュアは真逆です)

決して劇場版若おかみは小学生!には負けていません!

(減私と自己実現の相反する物語ですが、実ははなとおっこの目指すところに、

あまり違いはないのですよね。そこがまた面白いのです)

 

恥ずかしさを承知で若おかみは小学生!を見に行って衝撃を受け、

シン・ゴジラや海外のメッセージ性の高いアニメが好きな方なら、

きっと楽しむことが出来ると思います。

 

とはいえ、ファン向けのファンサービス満載の映画ですから、

本編等を見た方がより楽しめるのは間違いありません(笑)

 

現在公式ホームページから各シリーズの1話を無料で見ることができますが、

やはり何よりも現行のHUGっと!プリキュアを見てほしいですね!

特に19話と23話です。

キュアエールこと野乃はなが何故ミデンに寄り添うことが出来たのか

という背景がより深く描かれています。

 

個人的に好きな19話の下りですが

後にプリキュアになるえみる(この時点ではまだなっていない)に兄から

「女の子はヒーローになれない。帰ろう」

と言われたくだりから、野乃はなが

「誰の心にだってヒーローはいるんだよ!

 人の心をしばるな!」

って言い返すんですよね。

 

おそらくメッセージ性のあるアニメが好きな方なら

良い言葉だなと思われるかもしれませんが、

これ、人の心をしばるなといって人の心をしばる自己矛盾なんですよ。

事実その後、はなの言葉でえみるの兄は変わるわけではなく、

(それで変わってしまったら完全な綺麗事になります)

「最悪だな」

とえみる兄は返します。

(その後えみる兄は自分の中から変わります)

 

このエピソード、良い言葉を言ったから良いでも、

自己矛盾の正義で他人を縛ろうとするからいけないでもなく、

その言葉を対人関係で辛い経験をした中学生のはな言ったから凄いエピソード

なんですよ。

あややほまれは、基本的に自分自身と向き合う悩みなのに対し、

後から解るのですが、はなは対人関係で悩みを抱えていたのですよね。

そんなはなだからこそ言えた、はな自身が苦しんだからこそ出てきた

(言わざるをえなかった)言葉だと私は思います。

 

そしてそのはなの辛い過去の背景が23話で描かれるのですよね。

でも彼女には支えてくれる両親がいて、その後友達もできたのです。

 

裏表なく楽しくて前向きでちょっと苦いところもあり生き方をも語る物語、

そんな素敵な物語から多くのプリキュアを愛する大人たちも、

元気をもらっているのです。

 

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公式サイト予告動画より引用 ギャグもしっかりあるんだぜ(笑)

 プリキュアはみんなのヒーローなのですよ!

 

◆まとまらないけどまとめるのです


 

今回、特に目にとまったのが、ミラクルライトの使い方です。

ラクルライトは映画プリキュアではお馴染みの、

来場特典で子供たちに無料で配られる小型のライトなのですが、

プリキュアがピンチになった時にライトをつけて振ることで応援して

プリキュアが復活する(ように見せる)メタな仕組みなのですが、

(ちなみに売店では大人も買えるスペシャル仕様のミラクルライトも売っています)

今回はミラクルライトの使い方も素晴らしかったです!

 

プリキュアとの思い出が復活の鍵となったので

子供だけでなくプリキュアとの思い出がある人すべてが参加できる

参加型劇場ライブ映画になっていたんですよね!

 

※大人でも応援したかった!応援上映に相応しいと思ったそこの映画好きのアナタ!

プリキュアの映画では毎回こんなこともやっているのですよ。

(公開日初日の午前0時からの上映なので今回はもう終わりましたが)

 

 

15年の歴史があるからこそなせる業ですよ(笑)

それ以外でもプリキュア自身がライトを手に振るシーンがあったので、

自分が見た劇場では自然と子供たちがライトを点けて振っていました。

 

個人的にはこの映画がプリキュア映画のベストではありませんが、

(決して欠点があるわけではなく、ベストの映画がサプライズの嵐と感情移入の極限だったので)

映画HUGっと!プリキュア ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズは、

プリキュアの魅力が詰まった素晴らしい映画だという事には違いありません!

 

もし世界から、

日本のメッセージ性の高い子供向けのアニメは?

あるいは

日本のヒーローは?

と尋ねられたら、胸を張って堂々と

プリキュアです。

と答えればよいと思っています。

 

それだけプリキュアは凄いコンテンツだということを改めて知らしめしてくれた映画でした。

 

 

↓やはり私なんかとは全然違って素晴らしい考察だ(笑)

 

blog.monogatarukame.net

 

 

若おかみは小学生! 感想(ネタバレ有り)『彩鮮やかな世界観で描かれるちょっと重くてファンタジーな児童文学』

今年はあと2、3本ぐらい劇場でアニメ映画をみることになるかな?

本当に見たいものを絞って選ぶのもまた一興ですね。

 

今回は

若おかみは小学生! 

 

です。

うん、プリキュアとか見てますから怖いものなんてありません(笑)

原作、TV版は未見、今回もネタバレ全開でぶちまいていきます。

 

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 公式サイト予告特報動画より引用

 

個人的好感度:★★★★(★5個中)

◆こんな人におススメ

  • ハートフルで前向きな物語が好きな人
  • 児童向けの物語が好きな人
  • 現実と切り離して作られたファンタジーとして純粋に物語を楽しめる人

◆こんな人にはいまいち

  • 大人の描画にシビアな現実を求めている人(綺麗ごとが嫌いな人)
  • ファンタジー的なご都合主義が苦手な人
  • 家族の関係が信頼できない人(家族物の感動物語が苦手な人)

 

◆初見の率直な感想


 

うん、温泉旅館へ行きたくなってきた!(笑)

まさかこんなに重くて(でもそんなに重く感じない)刺激的な作品だったとは……。

 

なんというか話の内容が濃厚でメリハリがはっきりついていて

解りやすいんですよね。

ああ、これが多くの子供たちが求めている(た?)

受けが良い児童向けの文学なのかな?と思いました。

 

それと、最近広げた風呂敷を畳んでいない(多分あえて)物語に多く触れてきたせいか、

驚くほど綺麗に伏線を回収して風呂敷を畳んで終わった物語だとも感じましたね。

長さ的にもこれ以上やったら子供向けとしてはちょっと苦しいかな?

というところまでで終わっていますし。

 

普段見ているオリジナル系のアニメ映画と比べれば

多少物足りないと感じたところはあったものの、

その辺りを差し引けば本当に素晴らしいアニメ映画であったと言えるでしょう。

個人的な好みのツボはいい感じについていますし、

自分は若おかみは小学生!一杯泣きましたし大好きになりました!

露天風呂プリンのレシピが載っているパンフを持って帰ったんですけどね、

本当にもう……

 

おっこの顔を見ただけで泣けてきますわ……!!(ノД`)・゚・。

 

なかなか劇場へ行けない予定の中、

むりやりレイトショーの時間に行ってよかったです。

順当に行こうと思ったら10月の第一週の後半にならないと行けませんでしたからね。

 

 

◆派手さは限定的、されど堅実かつ鮮やかな作画で美しい世界


まず目につくのは色鮮やかな背景やキャラ、美術ですね。

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公式サイト予告特報動画より引用 この舞う花が後に重要な表現になります。

正直、自分はアニメーションの美術や技術についてはうといのですが、

関係者曰く、このアニメの技術は相当なものだそうです(笑)

ペンギンハイウェイの美しさとも違う、ジブリ出身の監督の影響か

どちらかというとジブリをイメージする美しさでしょうか。

派手な演出は限定的で、エフェクトで美しさ大爆発(笑)というわけでもない

堅実な作画と色彩で美しい世界を描いていると感じました(フワッとしすぎですね(苦笑))

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公式サイト予告特報動画より引用 この所作の美しさよ!背筋がピンとなります(笑)

そして、この美しい世界がおっこの見ている世界であり、

この世界観が辛いながらも頑張る彼女をより魅力的に写し、

共感を誘い自然と応援したくなるようになるんですよね。

 

◆土台にあるものはファンタジーなのです。


若おかみは小学生!

邪な感情を持っている大人ならなんてキワドイタイトルなんだ!

と思うでしょう(笑)

 

いやいや、ちゃんと児童に見せられる作品なんですよこれが!

ちょっと重い話ではありますが(笑)

ただ、若おかみは小学生!

ですから現実にはありえない話、

実際の小学生はせいぜいで稼業のお手伝い程度で本格的に働くことはできませんから、

そう、ファンタジーなんですよねこの物語は。

描かれている舞台が現代の温泉地なのでリアルな物語としてみられるかもしれませんが

この物語を楽しむ上で、ファンタジーであることは

まず押さえておかなければならないところです。

 

ただ、未来のミライのようなリアル指向の物語のファンタジーとは扱い方が違います。

未来のミライでは物語の背景や登場人物がとにかくリアルで、

主人公のくんちゃんはリアルな4歳児として描かれていました。

そのリアルな世界に1点だけ、家の庭で繰り広げられるスペクタクルのみが

ファンタジーだったのです。

リアルの中に唯一介在するファンタジーによって

リアルな物語に変化を与えエモーショナルを展開する物語なのです。

 

それに対して若おかみは小学生!は、

物語の土台からしてファンタジーなのです。

登場するキャラ、主役のおっこもリアルな小学生ではなく、

キャラクターとしての小学生として劇中では描かれています。

おっこの快活で前向きなキャラは、アニメ的で

現実的な小学生の人間像とは言い難いです。

しかしながら、物語の要所で現れる

辛辣な心理描画はまさにリアルにも通じるものがあります。

それだけではなく、舞台背景の緻密な作り込みで、

ファンタジーの世界にリアルの世界でもあるという説得力が付与されています。

つまりファンタジー絵空事の世界の中に尊いリアルを描き、

そこからエモーショナルを感じる物語なんですよね。

 

ただ、そこはファンタジーのご都合が過ぎると、

酸いも甘いも知り尽くした大人から見れば、

物語を楽しむ上で物足りなくなってくるかもしれません。

実際、おっこが自分の辛い過去を乗り越えた方法が、

メンタル的にパワープレイ気味で、

そこまで強くて聖人な女子小学生なんてありえないだろ!都合良すぎ!

ってなるかもしれません。

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公式サイト予告特報動画より引用 元気で頑張り屋さんのおっこからみんな元気を貰ったんじゃないかな(笑)

やはり元は児童向けのファンタジーに強めに振られる物語だからなのでしょうか。

しかしながら、そこは絵空事のファンタジーだからこそ描けるのであって、

それを受け止めることが出来たなら、勇気や元気をもらえる輝いた理想の存在として

見る人の心に自然としみこんで感情移入できるようになるんだと思います。

 

◆このお姉さんは大好きよ(笑)


若おかみは小学生!

おっこ以外のキャラもアニメキャラ的で濃いんですよね(笑)

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ピンふり(笑)

ツンツンしているのに根は真面目で努力家とか……

おっこが来ると解ると、努力家のそぶりを隠そうとするところとか可愛い(笑)

悪い人が出てこないこの物語で強烈かつ貴重なアクセントとなりましたね。

 

そして

謎多きお姉さん

 

じゃなかった(笑)

 

占い師のグローリー・水領

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公式サイト予告特報動画より引用 このシーンはマジか!?ってなった(笑)

自分もそれなりに世の中を知った大人です。

最初、ちょっと壊れた怪しい占い師として登場したときは、

この人宿代踏み倒すんじゃねーのか!?

ってハラハラドキドキしていましたが、そこは安心の児童文学です(笑)

クルマが出てきたことでその懸念は一気に払拭されました。

このお姉さんオープンカーの楽しみ方解っていますね(笑)

オープンカーには自分もかつて乗っていたんですよ。

いろんなしがらみから解放されるという意味でも

あの電動ルーフは最高の舞台装置でしたね。

(グローリーの愛車ポルシェ911カブリオレは50㎞/h以下でソフトトップの開閉ができるそうです!)

 

おっこにとって彼女はお客様であると同時に、

大切な心の友であり、

魅力的で理想とする大人のお姉さんであり、

ときには心の支えとなる親みたいな存在でもあるんですよね。

 

思うのですが、グローリーみたいな大人の女性像って、

小学生の女子が考える理想のかっこよくて魅力的な大人の女性像だと思うんですよね。

あくまでも大人が考える女子の理想の大人像だと思いますが。

 

アニメ的ではありますが、個人的には特におっことの関係を見ていると、

女性同士の交友関係とか、これは良きかな!!と感ずるとこがありまして、

男子の妄想が若干入っているペンギン・ハイウェイのお姉さんより、

女の子の理想が入っているグローリーお姉さんの方が好きです(笑)

画的には前者のお姉さんより際どいこと(笑)になっているのに

ちゃんと女性らしいところも描いているせいか何故かいやらしくない(笑)

 

個人的には、この物語でもおっこの次に好きなキャラですし、

今まで見てきたアニメ映画に出てくる大人の女性の中でも屈指の好きなキャラになりました。

 

その他にもその身なりから、宿代払う金持ってるのか!?

ってなった神田親子(疑ってばかりでごめんなさい…)

特にあかね君は 親を亡くしたもの同士で良い意味でおっこと対になっていましたね。ええ、彼とのやりとりでは泣きましたとも(笑)

おっこのキャラでは描かなかった苦境に立たされる子供のネガティブな心境を見事に描かれていました。

 

山寺宏一一家(コラ)もまさかそんな関係だったとは!?でしたしねぇ。

 

ユーレイ二人と子鬼も実にアニメらしい活躍をしてくれますし、

もちろん祖母を初めとする春の屋の大人たちも素敵でした。

いやぁ……ホントに良い人しか出てこねぇよこの物語。

心が洗われますわぁ……(笑)

 

両親の死に向き合えなかったおっこが

出会う人々たちとの関わり合いによって

成長していく姿はまさに王道の物語ですよね!

 

◆アニメじゃない??アニメだよ!!だから描けるんだ!!


映画版若おかみは小学生!

一部界隈ではバズっているようですが、

全世代に贈る完全無欠のハートフル感動大作!!

なのかというとそれは流石に言い過ぎじゃないかなと思います。

児童向けのファンタジーな物語ではあるけれど、要の部分ではリアルに迫る面もあり

大人にも訴えかけるものがあるというのは解ります。

 

とはいえ正直、仮に大人向けの物語でこれをやられると

ちょっと白けてしまうところがあると感じたのも事実で、

もっとリアルな人間性を現実を求めてしまうのです。

それに世の中には溢れるハッピーエンドの物語には

もう飽きたという人が意外と多いようですし(笑)

個人的には万人にお勧めできる物語か?といわれると

首を縦に振ることはちょっとできません。

 

もう少し突っ込むと、現実的な物語からみたら物語のきっかけとなる部分の要因が

(例えばおっこがおかみを始めるきっかけなど)

ファンタジーに頼っている面があります。

それに先に上げたように不自然なくらい良い人しか出てこない物語でもあります。

最初からリアルな人間を描いた物語を期待してハードルを上げて

(そんな人がいるのかは疑問ですがこれだけ評判が良いとちょっと心配)みると、

そのファンタジーぶりに面食らってしまうでしょう。

 

あと、修羅場の泣きのシーンの演技とかくどいと感じる人がいるかもしれません。

 (でもあんなふうに皆で泣かれたら本音は涙が止まらないのよ~(笑))

 

 

ですがもし、この物語をアニメ的なファンタジーキャラ表現を抜きにして、

リアルな小学生を描くことを中心とした人間の物語にしたとしたら……。

おっこの境遇が小学生にしてはあまりにも重すぎてとても見るに耐えないものになっていたでしょう。

アニメ的なファンタジーキャラ表現で良すぎる子を描いて

重さを押し切ってこそ、絵空事にしてこそ、

重さと軽さを兼ね揃えた物語として楽しむことができると思うのです。

別の言い方をするならば、

この表現の物語ならどんなに重い境遇の子を描いても信頼して良いかと思います。

 

いや、自分なんて最初、おばあちゃん的ポジションの人が亡くなって

小学生が宿をきりもりしていくってくらいファンタジーか?

って思っていたくらいですし(笑)

 

それに本来の対象である子供たちは、若おかみは小学生!のタイトルみたいな

ちょっと過激で好奇心をそそられる物語を求めていると思いますし。

 

 

個人的には現実ありきの見方やメッセージ性からは一旦切り離して、

おっこの若おかみとしての愉快で泣ける奮闘物語として

シンプルに楽しませていただきました。

共感すら意識してする必要はありません。

快活で前向きなおっこを見ているといつの間にか感情移入してしまうのです!

 

そうして見ていると

作られた世界だけどリアルに通じるものもある!

やったすごい!

これでいいんです。

 

 

児童向けの物語の普通の小学生の主人公であるおっこが、

なんでおかみになったの?ありえなくない?

なんてところは物語を楽しむための前提として解釈しました。

それこそ児童向けロボットアニメのお約束に突っ込むようなものなんですよね。

それが子供向けアニメのファンタジーなのですよ。

(もちろんそこをあえて描くのもありだと思いますが)

それ故に、あえて児童向け作品としてのフィルターをかけた上での

絶賛とさせていただきました。

 

絶賛される方の中には大人向けのアニメ映画だと

おっしゃられる方もいますがそうではなく、

幸せな物語を好まれる方に限定されますが、

子供向けの要素が苦手な大人でも楽しむことが出来る

子供と一緒になって楽しめるアニメ映画だと思います。

 

◆2回目視聴、劇場版小説読書後の気づき


2回目視聴、劇場版の小説も買いました。

1回目の視聴でひっかかっていた、ラストの4人の神楽の舞からの

ウリ坊と美陽との別れのシーンですが、本来ならそれまでの積み重ねで

自然と感極まるシーンだったと思うのですが、

頭で考えて理解しないと感動できなかったのです。

それまでのエピソードのカタルシスとラストが直結していないと感じたんですよね。

2回目の視聴でその原因が大体解りました。

 

序盤の両親と見に来ている神楽のシーンにいくつかの伏線

(両親が神楽でおっこが踊っているのを見てみたいと言ったところ)

があったのを見逃していたことが1つ挙げられます。

あらかじめ序盤から気を張って見ておくか、

2回目を見ないと対応できないかもしれません。

ホント、一瞬でも見逃したら勿体ない事になる凄い映画ですよ!

 

この映画は原作からの取捨選択と加筆が神がかり的に絶妙なんですよね。

例えばTV版や小説版であった女将のおばあちゃんが体調を崩すところが

この劇場版では丸々無いんですよね。

このエピソードを切るなんて正直、凄まじい選択だと思うんですよ。

映画聾の形の映画製作のエピソードを丸々切った以上の凄まじい取捨選択ですよこれ!

 

これが、限られた時間で物語を描かなければならない映画の凄いところであり醍醐味なんですよね!!

 

何故切られたかというのを考えると、もちろん尺の問題もあるでしょうし、

ただでさえ重い物語ですからこれ以上重くならないようにするためもあるのでしょう。

私が思うにはそれ以上に、おっこが生と死を乗り越えて成長していく物語を語る上では

必ずしも必要ではない、邪魔になるかもしれないという決断があったのだと思います。

これじゃないか?と気が付いたときは本当に映画って凄い!って思いましたから(笑)

尺を沢山とることができる連続ドラマや小説では、原作重視で考えると

まずやらなくても良いことではないでしょうか。

 

 

少し話がそれましたが、ラストの感動が思ったよりも……だった件ですが、

もうひとつの要因、ウリ坊と美陽たちがおっこから見えなくなる要因が

おっこが両親の死を受け入れ乗り越えていくにつれて見えなくなっていくのと、

おっこが出演する神楽の日に天に昇るという二つの要因があるのだと思っていましたが

これについて劇場版小説に詳しく書いてありました。(読み飛ばしていました(苦笑))

詳しくはここには書きませんが、小説を準拠とすると

ファンタジー要素が要因のようで、おっこの成長とは直接関係の無い感じでした。

個人的にはここ、映画だけでも解るようはっきりしていれば、

更なる感情移入が出来ていたと思いました。

 

 

 

それと、もうひとつの気づきですが、

この物語って家族を描く物語でもあるんですよね。

 

ですから、親との関わりに良い思い出が無い人や

それ故に家族の関係が信頼できなくなっている人には、

根本的に合わないと感じる人が結構いるんじゃないか?と思うんですよね。

自分も重いながらもあまりにも良い物語に、少しだけモヤっとしたのですが、

そういうところが少しあるので、そうなんじゃないかな?

と思ったのです。

 

家族の物語って明確な押し付けさえなければ基本的に嫌いじゃないのですが、

家族関係に不幸や問題があった場合で解決を目指す物語となると

個人的にはちょっと敏感になってしまします。

 

 

◆好きなところ語りとまとめ


映画版若おかみは小学生!

もっとシンプルに好きなところを語りましょう。

 

 

おっこちゃんが

滅っ茶苦茶可愛いんですよ!!(爆)

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公式サイト予告特報動画より引用 こんなに頑張り屋で可愛い女の子です。応援せずにはいられない(笑)

ちょっと画風が古いと思っているそこのアナタ。

見れば解るから(笑)

単に健気なだけじゃないんですよ(笑)

過呼吸になるの、自分も経験があるのでそこは共感ポイントです(笑)

自分の場合、過呼吸になったら手足が痺れてきたんですよね。

 

それと、おっこはウリ坊に無理やり若おかみにされた感じですが、

このおっこちゃんなら仮にウリ坊がいなくても

小学校の友達に触発されてお手伝いから始まって旅館の仕事に関わっていた

かもしれません。スイッチさえ入れば積極的になる子だと私は見ています(笑)

 

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 公式サイト予告特報動画より引用 鈴鬼くんが用意してくれたものだそうです)

 

そもそも本当に心から嫌だったら、まともに宿の仕事なんてできませんよ(笑)

 

それと

旅館のご飯が滅茶苦茶美味しそう!!

腹を空かせて見に行ったら飯テロ事案ですよ!!姉さん!!

パンフには露天風呂プリンのレシピまでありますしね。

温泉好きでもある自分としては露天風呂のロケーションも素晴らしいです!!

 

さらには

神楽の振り付けがなんか癖になりそう(笑)

この物語は1年間を神楽に始まり、神楽で閉じる物語になっています。

綺麗にまとまっているように見えたのもこのためかもしれません。

 

それとこの物語、

子供たちが人生で初めて涙を流すレベルの感動に出会う物語になるかもしれません。

感動するということはこういう事ですよと教わる教材としては最高だと思います。

どうせなら興行がひと段落したら、

小学校の授業で3、4時間目を使って(その後給食なのがミソ)

道徳(あるいは生活?)の授業の一環と称して上映すれば良いんじゃないでしょうか?(笑)

文科省小学生からキャリア教育とぼやいていますが(別に悪い事じゃない)

劇場版『若おかみは小学生!』とタイアップ! 大切なもの。力を出し合うこと。大人になること。 小学生から、キャリア教育:文部科学省

 

もっと片の力を抜いても良いでしょう。

 

またオープンカーにも乗りたいっ!!ショッピングモールにも行きたいっ!!

名物の朝のバイキングも食べたいっ!!夜のイルミネーションも見たいっ!!

温泉旅館へ行きたいっ!!温泉旅館へ行きたいっ!!温泉旅館へ行きたいっ!!

ああ、生きる力が湧いてきますよ!!

 

 

花の湯温泉のお湯は誰も拒まない

すべてを受け入れて癒してくれる

 

とあるようにこの映画もまた

 

劇場版若おかみは小学生!は誰も拒まない

全てを受け入れて癒してくれる

これですよ!(笑)

 

パンフレットに実際の美山荘の女将の言葉がありました。

お客様が「また明日から頑張ろう」と活力を得られるような時間を私どもは提供させていただく。

この映画もまさにそれと一緒でまた明日から頑張ろうと活力を得られる

映画になっていました。

 

 

正直、思うところは色々とありますが、

そこを割り切れば大人も楽しめる素敵な癒しの映画ですので、

子供向けだからと遠慮していたら間違いなく勿体ない映画です!!

 

若おかみは小学生!は何故絶賛されるのか?についての個人的考察追記


映画版若おかみは小学生!

ついに3回目を見てきました。

 

実を言いますと前々から単に良い映画として処理するには

あまりにも見識のある方々の評価が高すぎるんじゃないか?

ということが気になっていまして、

今回3回目は感情に任せて見るのは抑えて、

もう少し冷静に見ようと意識して見たのですよね。

(ちなみに1日1回昼間の上映の劇場で観客は自分を含めて3人……地方はつらいよ)

 

3回目の鑑賞での気づきをひとことで表すなら、

いやぁ……ヤバいねぇこれは。

これと比べて岡田磨里が病気だとか言ったやつ出て来いよ(笑)

多分自分のような気づき方をすると、

下手をしたらもうそこしか見えなくなってしまう可能性がありますので、

地獄の釜の蓋を開けたくない人(笑)はここまでにすることをお勧めします。

↓究極のネタバレの可能性がありますので続きは少し間を開けてから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花の湯温泉のお湯は誰も拒まない全てを受け入れて癒してくれる

そう、これなんですよ。

自分も春の屋を訪れた人はみんな癒されていると最初は思ったのですが

そうではない人(少なくとも映画で描かれている範囲を見る限り)が

唯一ひとりいたのですよね。

木瀬文太

 

彼は食事のときまでは間違いなく宿の施しを受けて癒されていました。

しかしおっこの激白受けてから後、彼が癒されたとわかるシーンは

何一つ出てこなかったのですよ。

 

ここでシンクロするのが神楽のストーリーです。

↓動画のだいたい3分50秒ぐらいから

 

www.youtube.com

山犬によって村の子供が殺められて村人が追いかけていったのだけど、

温泉で傷を癒している山犬を見かけてついには矢を射れなかった。

という話。

一見、山犬も村人も湯に癒されてほっこりする話のように思えますが、

山犬に奪われた子供への村人の思いや、山犬への怒りが

無かったことにされているんですよね。

 

ひるがえってこの物語を

木瀬文太の視点から見てみると

彼は姿こそ見えないものの映画の冒頭、

事故を起こしたトラックドライバーのトラックとして出てきます。

それから彼はずっと入院をしていて、

ようやく温泉旅行が出来る体になって春の屋を訪れるのです。

 

そこで出会った若おかみが、

自分の起こした事故のせいで両親を失った女の子なんですよ。

そうして彼の目の前で、両親を失った苦しみをぶちまいてしまうのです。

ここまでは誰もが解ると思いますが

(おっこの両親が経っている障子戸のガラスに木瀬一家が写っていることで彼らもおっこの苦しみを見ているのです)

彼の視点から見てもそれはあまりにも残酷な話じゃありませんか?

 

さらに彼に追い打ちをかけるのが、

宿を変えてもらうよう手配されたところに

春の屋に留まるよう訴え彼女が言うのです。

私は春の屋の若おかみです!と。

このときの彼の表情は、受け入れるとも拒絶するとも

何ともいえない表情をしていましたが、

 

 

彼の思いに寄り添っていた人はあの中にいたでしょうか?

彼の息子ですら彼女の側についていたのです。

そうしてついには渋々春の屋に戻るのですが、

そこに映された彼の顔に笑顔はありませんでした。(ここが3回目の気づきです)

そして彼はこの物語から姿を消すのです。

神楽の日にも出てきません。(人が多いのでちょっと自信がないです。出てこないですよね?(汗))

彼の苦しみを何とかしたいという思いが

花の湯温泉のお湯は誰も拒まない全てを受け入れて癒してくれるという言葉と、無邪気なおっこの善意で、

無かったことにされているんですよね。

 

物語の冒頭で、神楽の山犬役がやたらと怖く描かれていました。

そして物語の最後、おっこがその山犬役になるんですよ!!

この物語と神楽の物語は一体なのだそうで、

あれは伏線だったみたいです。なんと恐ろしい伏線か!!

 

 

しかしながら、これは決しておっこに罪があるわけではありません。

そのことを自覚することすら小学生には非常に難しいでしょう。

真月もそのことには気が付いていませんでしたし、

それどころか周りの大人や我々観客ですらも(冷静に見ていた人はともかく)

おっこの境遇を見てきているので(おっこに感情移入している人ほど気が付かないかも)

例えそれが危うい可能性がある選択であることが解っていたとしても

彼女の決意を止めることは出来なかったのではないかと思います。

我々観客や春の屋の人たちはおっこの頑張りを見てきたからよいのですが、

彼はそれを見てきていないので解らないのです。

接客業としての理想を言えばそこで周りの大人が、

もっとお客さまの意向を汲んでさしあげなさいとたしなめるべきなのでしょう。

でもそれをすれば今度は折角の両親を失った苦しみから抜け出そうとする

おっこの想いに水を差すことになりそれはそれで残酷なことになってしまうと思うのです。

 

 

そこがこの物語の真に深い深い感動を誘うところだということに

3回目の視聴でようやっと気が付いたのですよね(苦笑)

単に小学生が両親を失ったということだけで重いという話ではなかったのですよ。

 

子供はとても正直にものを語る時があります。

時には善意でやった行いが鋭い刃となって大人に突き刺さることもあります。

それは自覚のない無邪気なもの故に余計に鋭くなるのです。

 

しかし、このことからこの物語は感動を期待する物語じゃなく

酷い物語と否定するのは自分は違うと思っています。

もちろん文太の側に立って見たらそうなるのは解るのですが、

そう処理してしまうとじゃあここまで描いてきたおっこの輝きはどうなってしまうんだとなるんですよね。

それなら初めから文太が主人公の物語として描けばよいのです。

あくまでもこれはおっこの物語です。

 

それに

この物語は創作の物語ファンタジーなのですよ。

だからこそ描かれていないその先に

癒しや救いがあることを自分は信じたいです。

 

むしろ描かれていないことが救いにもなるということです。

 

 

 

 

苦しみも喜びも全て表裏一体。

 

凄い映画ですね本当に。

 

でもこの要素、好きか?

と聞かれればそれはちょっと否です。

だからこの物語の5点満点中4点の好感度は変えません。

同じ感動でも見ている人によって実は感動の源泉が少し違う(かもしれない)なんて、

(シンプルにおっこの頑張りに感動するか、文太との関係で複雑な感情からの感動か)

狙ってやっているのであれば結構あざといですね(笑)

仮に大傑作ではなくなるにしても、

もっとシンプルに良い話を見たいんですよ~!!(苦笑)

ぶっちゃけ児童向けファンタジーとして重い要素を

吹っ飛ばして見ていた方がシンプルで楽で好きです(笑)

 

改めて言います。

この物語は少年・家庭向けの物語です。

それは軽いとか重いとかという意味だけではなく

もっと深いところにもありそうな気がした3回目の鑑賞でした。

 

 

 

最後にひとこと、

鈴鬼君、お前ホントにヤバい客呼んでくるよなぁ……。

お前がこの物語で一番ヤバいやつまさに鬼だよ……。

 

※この追記に限らず当方ブログの感想は、あくまでも私個人の独自の解釈ですのでそういう解釈もあるんだなという目で見守っていただければ幸いです(苦笑)

 

 

 

 

 

 

 

↓私のまとまらない感情爆発感想とは違って至って真面目で素晴らしいみなさんの感想批評です。

 

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